早嶋です。
ニーズとウォンツという言葉があります。私達は、2つの言葉を次のように分けています。
ニーズ:最低限の欲求。現状満足していない。満足する状態に向かいたいと考えている。
ウォンツ:更にという欲望。現状は満足。が、更に高みに行きたいと考えている。
基本的に、ニーズは通常に生活をする、通常に経営をする上で必要な部分が満たされていないので、必然的にその欲求が個人や法人から生まれます。このニーズは多くの市場が感じる部分ですから、市場規模も大きいです。当初、このニーズを捉え、企業が解決策を提供すると、ある意味入れ食い状態です。市場ニーズがあり、そこに解決策を提供するのですから、皆が喜び勇み購入します。
しかし、伸びる市場は当たり前ですが競合を生みます。そして、市場のニーズが顕在化されているので、競合も同じような解決策を提供します。競合の参入により、そのニーズを解決する顧客が認知され市場が更に成長します。そしてやがて市場が成熟する手前には、一連のニーズが解消し始めますので、顧客の購買理由が徐々に弱くなります。
ニーズの特徴ですが、一度解消されると、急に、その購買が消極的になり始めます。最低限の欲求で、有りたい姿がプラスでもなく、マイナスでもない状態で良いからです。その姿にたどり着くと、人はその状態を維持する程度の費用は払いますが、そこでも渋りたくなります。
一方で、このような市場は、参入企業も多く、その解決策である商品も似たようなもばかりです。違いを出せない企業、二番煎じの企業は顧客から評価を得ることが難しいので目先の値下げ合戦でなんとか寿命を食いつなごうとうします。ニーズにフォーカスすると、当初はビジネスとして伸びますが、やがて価格勝負になり、特徴がない企業は利幅が薄いビジネスになるのです。
ウォンツは、有りたい姿が一度、プラスでもマイナスでも無い状態になると、そのさきに更に進みたいという欲望です。したがって、市場の全員が到達したいわけではありません。基本的にウォンツは企業が創り出すことができます。安定している顧客に対してさらなる欲求を提案することですから、まさに市場の創造に相当します。
創造する際のポイントは2つあります。学習と経験です。まずは、ニーズが満たされている市場に対して何らかの学習できる環境を提供します。情報提供でも、何らかのセミナでも、ニュースでも。手法は業界や商品によって異なります。そして、徐々にその欲求レベルを高めるために、ユーザーにフォーカスして、一緒にその商品を盛り上げていきます。
ある一定レベルの顧客はウォンツレベルが高まります。そのタイミングで経験を与えます。これはサンプリングや試乗といったアプローチが相当します。商品によっては、それら一連の流れを店頭やイベント会場で連続的に行う場合もあります。
こうして更なる欲求を創り出し、それを欲するように企業は市場を育てていくのです。当然、現状から更にという姿ですので、本来は高い金銭を払って提供する必要も無いし、購買しなくても何の影響もありません。しかしニーズの対局で、ここの欲求はどうしても欲しくなってしまうのです。市場は小さいですが、利益率が高いビジネスの可能性があります。