早嶋です。
「どうして自転車はペダルをこぐと進むの?」「どうして水の中で手を叩いても音がならないの?」「どうして空は青いの?」「どうして鳥は空を飛ぶの?」と取り留めもなく続く息子から質問に対して、1つ1つ掘り下げて答えていくも、2度、3度目の「なんで?」に対しては実は、なんでだろうね?というのがあまりにも多いことに気がつきます。
日常の中でも、改めて当たり前と思っていることに対して、深く掘り下げていくと、実は全くわからないけど、きっとこうだろうな?と分かったふりをしてモノゴトを受け流していることが山のようにあると思います。息子とのこの問答は自分の知識や経験の不足をしみじみと省みる良い機会と受け止めて、わからない、或いは息子レベルに解釈できないことは改めて本を読んだり、調べたりして、再度息子と話をするようにしています。
先日から、石油販売を手がける企業のコンサルを複数行っています。たまたま幾つか重なっていて、結果的に同じような業態の企業を横串で分析することができました。早嶋の基本は、当たり前のことに対して、コントロールできる要素とできない要素を切り分けていく作業からはじまります。そこで、所謂サービスステーション(SS)というテンポ戦略を考えた際に拡販について深掘りをしていました。
前提としてSSの売上は大別すると油と油外の構成です。油はガソリン、軽油、灯油に大別され、販売の多くは地域や通りを走る車の台数に比例しています。また、油外は、洗車、oil交換、車検、タイア等の小売に大別され、こちらはそのSSに来店する顧客が全体のパイとなって粗利額が決まります。
前者は世の中が2%程度の減少率でガソリンの販売が減っていますのでコントロールすることは結構たいへんです。規模が大きなところはボリュームディスカウントを効かせて価格勝負を行っていますが粗利が取れなくなり、人件費を削り、結果サービスが悪くなり油外の粗利が減少するという悪循環になっています。自社の油の販売量を拡大、安定させるために殆どのSSではハウスカードか、提携のクレジットを付けて、そこで給油することを習慣化する取組を行っています。それでも常に現金のフリー客が15%から30%存在します。
洗車、oil交換、タイア、車検は何もしなくても、店頭にそのような商品を提示するだけで通常はある一定の割合が買っていくことがわかっています。そこで、「なんでoilは100㍑売れているのですか?」「なんで洗車の粗利は30万円/月なんですか?」「なんで車検は概ね15件/月とれているのですか?」と質問をして、ある程度理屈と経験で辻褄があう説明をされるSSは過去の数字や取組レベルが高く、今後の店舗戦略の数字も達成する見込みを感じます。が、「・・・」となってしまう店舗はやはり厳しいと感じます。
ここにも2:6:2の法則が成り立ちます。全数のSSの店長の2割程度は、どのような理屈で売上や粗利を確保しているか説明ができません。従って基本的な取組は行っていないに等しいです。売上や今の粗利の理由は完全に元売りブランドと立地条件で成り立っています。
上位の2割は、徹底的に店舗の売上の仕組みと粗利の内訳を管理して、自店舗でコントロールできる取組を行動レベルに分けて実施しています。例えば、タイアを販売するために、毎日、目標件数のタイアチェックを行い、そこから交換の必要な顧客に対して、ピットでリフトアップして車の状態を説明。するとその中から一定の割合が見積もり購入とつながる。というような一連のプロセスを理解しており、そのプロセスを次の工程に進めるための確率から日々の取り組むべき行動目標を設定しています。
例えば、月にタイアでいくらの粗利を獲得するためには、1本あたり12,000円の粗なので何本販売しなければならない。ということは、リフトアップする台数はこのくらいの台数だ。ということは毎日タイアの空気圧チェックはこのくらいの件数は行わないといけない。というようにプロセス管理が徹底されているのです。
残りの6割は、そのような取組の一部は抜けているけれども、一部はかろうじてできているような店舗です。面白いと感じたのは、SSを元売りが直営で行っているところは少なく、特約店が実際の販売を行っているため、SSの実務の行い方を結構店舗任せ、特約店任せにして標準的な考えを共有化していないことです。それが昨今の石油環境の悪化によって多くの元売りが焦りを持ったのでしょう。ようやく、販売の指導にはいるという流れなのです。
これって冒頭の「なんで?」ってことに対して、ある程度理解しているつもりになって、メスを入れずに、研究をしなかった結果なのかな?とふと考えた次第でした。