早嶋です。
最も長い間、早嶋のクライアントとして毎月コンサルを受けていただいている経営者がいます。元々は歯科医院の院長で、今はその歯科医院を大手医療法人に売却して、自身はその法人の理事として活躍されている方です。毎月、医療法人で展開している歯科医院の経営状況を確認しながら、他の展開の方法や今後の方針などをざっくばらんと話をしています。
今日も経営の確認や課題解消の議論を行った後、多方面に色々なお話をさせて頂きました。その中で印象的だったのは、学習と経験という議論です。人は、経験したことのないことを学習として知識で補うことができます。しかし、実際に2次データでクライアントに話をするよりも、規模の大小は別として1次データで基本的に体験談を基にしたお話は、提供側にとっても、受け取る側にとっても理解が深まります。
例えば、初めてコンサルをさせて頂きたときは、それこそ会社を立ち上げたばかりで、ほぼほぼ100%が本に書かれている内容を、勝手に自分の言葉に変えてお伝えしていたに過ぎませんでした。それでも、その経営者は、頭の整理になる。自分が考えていることを言語化して頂いて助かる。と有り難い言葉を頂いていました。
10年以上の月日が流れ、その医院はユニット(治療をする台)あたりの売上を効率的に伸ばし、法人化して、更に資本政策の一手から大きな医療法人に売却。また、更にユニットあたりの売上をあげるため、患者の満足度を高めるために、小児矯正のドクターにパートタイムで来てもらい拡大を続けます。現在は、その立地から訪問歯科の仕組みを構築しながら医療報酬を更に増やす取組をしています。もちろん、これらの取組をする中で沢山の失敗を行いました。それでも次の一手に活用するために常にフィードバックを繰り返し、備えて行きました。
現在、歯科医院の独立の仕方に対して、これまで通り、個人がリスクをおい開業する手法に加えて、院長として基本的な裁量は持たせた上で、基本的な経営のベースをグループで提供する。そしてバックオフィス機能は法人がヘッジして医療経営の部分よりも医療サービスの提供に力を入れれるような独立支援を行っています。しかし、始めから独立開業を考える若手ドクターに対しては、なかなかそのメリットが伝わりません。どうしても自分の城を持ちたいのです。
しかし、ある程度年数を経て、同じように売却したドクターや、分院展開を繰り返す中で医療経営の目的を失ったドクター、或いは実際に年齢が増えてから借金を返すことに恐怖を考えはじめたドクターに話しをするとその概念を良く理解頂けます。おそらく、頭では理解しても、実際にその景色を自分で見ないことには何とも判断がつかないことが山のようにあるのだろうと思います。
現在、私もコンサルトして10年以上のキャリアを積むことができています。初めの100%机上の空論から、現在は本にはこう書かれているけど、実務ではここがポイントでは。という経験から分かるコンサルや閃きもでてきています。もちろん、最終的にはそれらを言語化して筋が通り、かつ長期的に安定して実現して成果を上げることにつながればどちらでも良いのですが、知識に加えて、経験でもモノを語れるようになってきたと思います。
今後も2次データの研究とアップデートは継続しながらも、実際の経験や失敗からの学びを取り入れるスタイルは増やして行きたいと思います。学習と経験は常にどちらかがというわけではなく、双方を繰り返し、継続し、リンクさせることでポテンシャルが高まるのだと感じます。