早嶋です。
フィナンシャル・タイムズ紙によると、MBAの留学先として米国を選択する学生が減少しています。理由はトランプ大統領です。報道では、米国MBAの入適性試験であるGMATの出願が去年の同時点で4割程度減少していました。実にこのような減少が数字で明確に現れるのは10数年ぶりだとか。
考えられる理由は明確ですね。米国MBAの主要な市場はインド人で、修了後に米国で就労ビザの規制の対象になるのではという不安が今回の結果に現れていると思います。インドでビジネスを行っている知人によれば、インド人学生は就職をする地域や場所を踏まて大学も考慮しているそうです。
入国規制に対しての先行指標は、米国での国際会議の予約でも見られます。現在、向こう1年先くらいからの予約が激減しているようです。通常、国際会議は1年から2年先の予約を当たり前とします。トランプ大統領の就任から100日が経過して、入国規制に対しては不安定な状況が続きます。実際、わずか数か国の規制でも大問題です。参加する方々の地域や国が1つでも入れば、その場所での国際会議は成立しません。
従って、今後将来に渡って開催される会議場の選択肢から米国は切り離されているのです。代替として人気があるのはシンガポールやオーストラリアです。クライアントの旅行会社でもこの動きは把握しており、国際会議のアレンジには米国よりも上記に上げた国を中心にプロモーションをはじめているそうです。旅行宿泊業の大きな位置を占める国際会議の市場が米国でも1年後くらいから陰りが出てくる。ジワジワ、影響が出ています。
MBA市場は、その後の就職という点についても今後の米国に影響を与えるでしょう。米国の代替としてのMBA留学先は、カナダやオーストラリア、欧州などにです。この影響は国際会議と同じで確実に将来に影響を与えます。ひょっとして1年程度でシリコンバレーやベイエリアにも大きく関係するのではないでしょうか。米国で最も活気があるエリアもまた移民や外国人の知的労働者で成り立っています。もし、このまま不安定な規制が続けばそのエリアが丸まるバンクーバーに移る可能瀬も考えられます。
実際、IT企業の大手やスタートアップ企業の経営者のインタビューでも、複数の経営者がバンクーバーに興味を持っていることを示唆しています。米国でも米国以外の優秀な人材が確保できなくなれば、米国のITビジネスのスピードが減少するでしょうから人材確保は非常に重要な話題です。ITバブル再来依頼のベイエリアの活況に対して、自国の大統領がメスを入れて終止符をうつ。トランプ大統領が残している爪痕は、少し将来の米国に大きな影響を残しそうです。