早嶋です。
先日、公共の建物、特に学校や病院等の建築や構造デザインを研究している大学の先生と90分程意見交換をさせて頂きました。公共の建物は、不特定多数の方々が利用し、個々人のニーズも異なる。更に、建築のデザインや予算等を決定する意思決定者は自治体であることが多く、大いに政治力が働く領域でもあるようです。更に、研究の対象となる建築物のサンプルが多くても100程度と少なく、そこから欲しい情報を局地的に読み取る必要があるという制約条件を持っています。
研究の手法として、不特定多数の利用者の欲求を言語化する主な調査方法は、人々の行動観察に代表する手法です。該当する施設や相当する施設に研究員が座り、そこに行き交う人々の行動から様々な仮説を立てるのです。
また、最終的な予算やデザインの決定を行う場合、予めステークホルダーの思惑や意思決定権限の強さなどを分析します。初めの行動観察から導いたデザインや設計が必ずしも採用されるわけではなく、意思決定者の権限や彼ら彼女らの直感的な思いから決定に至るケースが多いからです。
更に、サンプル数が少ない制約条件に対しては、限られたサンプル数の中から目的を達成するであろう少数の建物を選び抜き、様々な仮説を立てる細密調査が基本になります。そこから研究データを取得し、対象となるデザインや図面を決定します。いわゆる少数点形・少数細密調査というわけです。
公共の建築を研究している学者さんは案外と多く、でも図面やデザインを引くことよりも、上記のような対応に対して日々仮説を立てて基礎となるデータや仮説を立てているのです。
この話を聞いて、この研究って、1)大企業のマスマーケティング、2)大企業の新規ビジネスの企画に活用できると感じました。
大企業のマスマーケティングは、基本的な属性には分けますが、かなりざっくりとしているためここのニーズを細かく分類することは難しいです。現在では様々なデータをビックデータ化して2時情報の分析から様々な仮説を立てています。しかし、そこには1次データが不足しているため、行動観察の手法から導き出される推論とビックデータの推論を組みわせることでより仮説の精度が高まるのではと考えました。
次に大企業の新規ビジネスの企画です。新しいビジネスを行う際、まだ試していないビジネスという特徴からサンプル数どころか市場が存在しません。そのような環境から代替する指標を複数ひねり出して仮説をだして小さな実験を繰り返します。この手法はまさに少数点形・少数細密調査のノウハウが使えるのではと思います。
上記仮説を試すべく、ある企業の商品開発で共同研究を行い、異業種の組み合わせで仮説通りの成果が出すことができるか実験したいと思います。