原です。
イノベーション・モデルのパターンの中に、顧客エンゲージメント・イノベーションがあります。簡単に言えば、「心をつかむ交流をどのようにして促進するか」です。
つまり、顧客の心の奥深くにある願望を理解し、その理解を踏まえて顧客との間に意味のある繋がりを築くことです。
購入型クラウドファンディングは成長市場で、2016年末には、33億円規模になると予測されています。購入型クラウドファンディングの特色に、リターン(お返し)というルールがあります。このリターンは、繋がりを築くための成功の鍵であると実感しています。
具体例では、ある1人の男が、「お酒の飲めるマンガサロン」を開店したいというプロジェクトを考えました。その想いの理由は、「自分はマンガが好きだ。できればお酒を飲みながらマンガ好き同士で語り合いたい。語り合える場を創りたい。」でした。しかし、その想いを実現するためにはお金が必要。その資金調達手段としてクラウドファンディングを活用して目標金額を集めることに成功しました。
そして、支援金をして頂いた支援者の皆さんへのリターンの内容は、マンガサロンへの招待券など、支援者がマンガサロンに来て楽しい時間を過ごせる時間と場の提供を準備したのです。支援者の皆さんにとってのメリットは、このマンガサロンで楽しい時間を過ごせるという参加権を得ることです。一方、プロジェクト起案者のメリットは、資金調達による想いの実現です。
さらに、資金調達だけでなく、ファンづくりにも繋がりました。マンガサロンを創りたいという想いとマンガサロンで楽しい時間を過ごしたいという顧客との間に共感という繋がりを築くことに成功したのです。
「心を掴む交流をどのようにして促進するか」イノベーションへの大切な問いです。