早嶋です。
2015年11月20日から25日の間に、エチオピア首都、アディスアベバに出張。その際に仕入れた情報と感想を備忘録としてまとめています。
【雑感】
エチオピアでの内需はここ数年で一気に高まる。現在の勢いで人口が増えると10年で1.2億程度になる(現在9100万人で年率2.6%で増加)。現在でも市街地は建設ラッシュが続き人が溢れている。アフリカ・ビジネスの拠点として、エチオピアでの内需、ヨーロッパに向けての生産拠点として今後栄えると思う。はじめはバングラディッシュやベトナムから製造業が移管され、ヨーロッパ向けの生産拠点となる。10年後には、エチオピア内需に対しての生産が栄え、更にはアフリカ全土への成長の足がかりとして期待できる。
【基本情報】
国土:109.8平方キロメートル(日本の約3倍)
人口:9,173万人で年率2.6%で増加中(2013年、世銀調べ)
民族:約80の民族が集まっている
言語:アムハラ語と英語。ほぼ英語が通じる。
宗教:キリスト教とイスラム教。2つの宗教が共存している。
エチオピアは東アフリカにある連邦共和制国家で、東をソマリア、南はケニア、北西をスーダン、北をエリトリアに囲まれた内陸国。首都はアディスアベバ。
アフリカ最古の独立国であり、ナイジェリアに次いで2番目に人口が多い国です。国土の大部分がエチオピア高原を中心とする高知で、平均気温は年間を通じて13℃と冷涼。実際は、朝夕が極端に寒く、日中は日差しが強いにもかかわらず気温が高くなりすぎないで過ごしやすい地域でした(アディスアベバ)。
首都アディスアベバは標高2400メートル。エチオピア高原は本来の地形は平らでしたが、標高の高さのため降雨が多くいたるところが侵食しています。結果的に、深い谷や崖が多く散見されます。この地政学的な部分が根拠で他国からの侵略を防ぎ植民地化されなかった理由でしょう。一方で、同様の理由から交通インフラを整備するには不適切で経済発展がネックになったのかもしれません。
【経済】
IMF統計では、2013年のエチオピアのGDPは460億ドル。一人あたりに換算すると518ドル。これは世界平均の5%程度で最貧国となる。しかし近年は経済成長を続けている。しかし主要産業は未だに農業が全体の4割を占め機会化が進まず昔からのやり方で行っているため生産性が極めて低い。
農業は、穀物、豆類、コーヒー、麺、サトウキビ、ジャガイモ、カビ、花、牛や羊やヤギの皮革。
しかしながら近年急激に物価が上昇して、かつ仕事がそんなに無いため、失業率は18%程度にも登っている。が、実際は仕事を必死で探している様子はなく。皆なんとなくのんびりとその日を楽しんでいるような雰囲気を感じる。
【通過情報】
エチオピアの通貨単位はブル。日本円は非常に弱く、ドルに変換した後に、ドルに両替をしなければ都市の両替では対応されないか、相当レートが悪くなる。ホテルの両替はドルは大丈夫だが日本円は皆無に近い。
1ドル=20ブル=120円が相場(2015年11月現在)
【主要貿易相手国】
輸出も輸入もどちらも中国が首位。輸出に対しては、ドイツ、アメリカ、サウジ、ベルギーが上位。輸入に対しては、中国に次いで、アメリカ、サウジ、インド。
【気候】
雪の無い軽井沢と称されることもあり、過ごしやすい。ただし雨季は6月半ば頃から9月半ば。年間を通じた降水量は1200mmを超え、その豊かな降雨が周囲の植生や周りの地域へ潤いを与えている。
また、標高が2400mと高いため、空気が薄く、体調がすぐれない日本人が滞在すると慣れるまで高山病に苦しめられる。日差しが強い割に気温が低く、夜は一気に冷え込む。
【日本からのアクセス】
今回は、エチオピア航空で。2015年4月から安倍総理の動きによって直行便が出ている。現在、水曜と金曜の週に2便、成田からエチオピアの首都、アジスアベバまで直行便がある。直行便といっても、一度香港で乗客を乗せての便になる。
日本から香港はガラガラで、香港から大量に中国系の乗客とともにアジスアベバに向かう。帰路も同様に香港までは満席で中国系の乗客で、香港から成田まではガラガラになる。
エチオピア航空は国営のフラッグ・キャリアで首都アディスアベバのボレ国際空港を拠点にエチオピア国内やアフリカ各地、欧州、中東、北米、東南アジアや東アジアに路線を展開している。
【ビザ】
日本からエチオピアに行くためにはビザが必要。ビザの取得は、都内高輪にあるエチオピア大使館の営業日の午前中に申請をすると、午後15時には受け取れる。取得費用は5000円。エチオピア大使館はコンビニが入っているビルの2階でセキュリティが甘く、いわゆる大使館的なチェックが皆無であったことに驚いた。エチオピアの日本大使館関係者に話を伺ったところ、「それだけ日本が安全ということですよ」と。
【交通インフラ】
主要な都市間の道はアスファルトで舗装されている。日本で言えば国道クラス。少し都市部を離れると車の道であってもアスファルトで舗装されていない道が殆ど。雨季にはぬかるんで移動ができないところも多いと予測できる。
信号機は殆どなく、いわゆるターンアラウンドが主。しかし運転の秩序がなく、平気で追い越しと逆走があるので都市部は常に渋滞している。更に、人やヤギ車なども縦横無尽に歩いているので慣れないうちはハラハラさせられた。
世界一交通事故が多い国。という噂も嘘ではないと感じた。ちなみに、インフラを整える資金の多くは中国マネー。鉄道や主要な国道、そしてハイウェイの多くが該当する。ただインフラの整備と言っても鉄道は皆無と言って良い。基本は乗合バスかタクシー、郊外に行くと三輪車(トゥクトゥク)が目立つ。それでも乗れない人も多く後は徒歩となる。自転車やバイクはあまり走っているところを見ない。ロバや馬、もしくは人が物を運んでいるのを頻繁に散見できる。
【治安】
一般的なスリはいるとしても、危ない空気感が無い。アジスアベバは比較的安全だ。人もフレンドリー。どうやら外国人の多くが中国人で、我々日本人との区別がつかないのか、頻繁に、「チャイナ、チャイナ」と言われていた。昔、小さいころ、外国の人を見かけたら「ガイジン、ガイジン」と言ってた感覚と同じかなと思った。
主要な都市間を通過するとこには関門があり、警察か軍隊が必ず車を泊めさせセキュリティーチェックを行う。形式的な部分もたくさんあるが、かなりセキュリティーが厳しい感覚を受けた。主要な道路は駐車禁止エリアが多く、少しでも停めていると、何処からともなく警察が切符を切りにくるか、注意しにくる。
今回は、数人のドライバーに運転を依頼した。その中のひとりが良くぶつかりそうになるし、捕まっていた。興味深いのは、何らかの違反をして警察に止められるとすぐに、ナンバーを外されることだ。そして切符を切られてナンバーを取りに行かないと行けない。そんなに簡単にナンバーが外れることに驚いた。
【国民性】
極めて穏やかでフレンドリー。また真面目。一方で皆プライドが高い。面白いのが自分の年齢や誕生日を正確に把握していないとのこと。公的な機関が発行する証明書(例えばパスポート)であっても、事故申告。誕生日は、有名な人の誕生日にする人が多く、その方がなくなると不吉だということで更に誕生日を変えるという。年齢も正確に把握しておらず、およその年齢をベースに申告している。
集中力が高く、長時間の仕事にも耐える。また、手先が器用なため機械加工が難しい手作業の外注地域としては向いていることから縫製工場などが集中している。
【物価】
バングラディッシュよりも人件費が安いと聞いていたせいもあったが、実際は思ったより高い。特に、首都のアジスアベバは高騰している。空港近くの比較的に外国人が多い地域は、他の地域の倍から数倍は値段が上がっている。実際、アジスアベバの中で栄えている地域は、近隣のピアサ地区で仕入れた商品をそのまま利益を乗せてアービトラージして商売している人たちが多いそうだ。
【人件費】
今回見学に行ったエチオピアシープの縫製工場(アジスアベバから30km郊外のアレムゲナ)で働くワーカーが月に1200ブルから2000ブル。この賃金も年々上がっているという。泊まっていたホテルの従業員は、2つの仕事を掛け持ちして月の賃金が6000ブル程度。バングラディッシュのあたりが4500円/月から考えると案外と高い。
【ネットワーク事情】
電力事業が安定していないこともあり、Wi-Fiが極めて繋がりにくい。つながってもすぐにプチプチ切れるのでFBなどはストレスだ。エチオピアの人々のほどんどがケータイを持っていて、どこにいても連絡を取り合っている。これは、国内の少数民族でも同じで半数は持っているということ(よしだなぎさん情報)。
【GER:Great Ethiopia Run 】
エチオピアのマラソン界の皇帝、ハイレ・ゲブレセラシュが今回、アジスアベバで走る最後の大会とあって、今年は44000人の参加。日本のマラソン大会と違うのは、先ずはお祭り感覚でタイムを競うためにピリピリしていない。踊りながら歌いながら走っている。中には歩いて楽しむ人も多い。更に、参加者は毎年同じ色のTシャツを着て参加する。大会に申し込むともらえるTシャツだ。日本では参加賞や完走した証として配布しているが、GERでは事前に配布される。更に、多くの人がTシャツを自己流にアレンジしている。袖にカットを入れたり、デザインそのものを変えている人も多くみた。国民性を垣間見れる大会だ。
【建設ラッシュ】
空港から市街、大使館が隣接する街、ビジネス街、工場地域に続く地域、高原のリゾート地域。ありとあらゆるところで建設ラッシュを体験できる。工法は、至ってシンプル。簡易な基礎と細い柱で基礎を固めて、後は積み木を積むように階を増やしていく。壁はブロックを積み上げてモルタルで固めただけ。各階のフロアの厚さも30cm程度あれば良い方ではないだろうか。地震が無いといえども、あの造りは恐怖だ。
【きれい好き?】
まちなかで良く見るのが靴磨き屋。埃っぽく、泥だらけにもかかわらず、こまめに靴を磨いている人をよく見る。中にはスニーカーも磨いてもらっている。
また道路の脇では、バケツと雑巾を片手に車洗いの商売を良くみた。ボコボコの塗装が剥がれている車でも、こまめに洗車して綺麗にしている。洗ってもすぐにほこりまみれになるのにと思いながらも、その景色が当たり前になってきた。
また街のゴミを綺麗にするかかりがいるのか、同じユニフォームを来ている人たちがこまめにゴミを拾っては清掃をしている。どろの道にゴミは落ちているが、そこまで汚くない。
【エチオピアのスポーツ】
建設中の道路では、近くの少年や成年が暇を見つけてはサッカーをしているのを散見できた。国内で最も人気のあるスポーツだ。サッカー自体は国として強くはないが、プレーも観戦も皆好きなようだ。車道の脇にはサッカー関連グッツを売りにくる人も割りかし多い気がする。
エチオピアが最も強いスポールは陸上で、特にマラソンを代表する長距離は格別だ。人口密集地区が標高2000メートル以上にあるため、日常的に心配能力が鍛えられている上に、体の造りが非常に優れている。正にマラソンのための国である。
【食事】
主食はテフなどの穀物の粉を水で溶かして発行させ大きくクレープ上にして焼いたインジェラ。スープ、炒め料理、煮込み料理、肉料理。兎に角、常にインジェラが一緒に出て来る。食感はクレープみたいだがやや酸味を感じる。基本的にスパイスが効いた辛い料理が多い。
コーヒーの産地のため、広く常飲されている。沢山の人が集まる場所では、コーヒーセレモニーという習慣があり、食事をしている間に生豆を入り砕き、それを専用の壷に入れてコーヒーを煮だす。おちょこのような器に入れて振る舞ってくれる。砂糖をかなり入れて甘めだが同じコーヒーでも日本では味わえない飲み物だった。
アルコールはビールやワインが生産されているが、珍しい飲み物としてはタッジと言われる蜂蜜のお酒がある。度数が高く、専用の容器に入れて回し飲みする。試してみたが蜂蜜の強い香りとアルコールで苦手だった。
【アフリカの政治拠点】
アジスアベバにはアフリカ連合(AU)や国連アフリカ経済委員会(ECA)の本部があり、アフリカ地域の外交の中心地の一つになっている。日本大使館の大使は、特命全権大使兼アフリカ連合(AU)日本国駐在代表となる。
【工場事情】
エチオピアの首都アジスアベバ郊外の地域には、ここ数年で2,000位の工場が乱立されている。その殆どが中国資本。立地柄、欧州向けの拠点工場として位置づけられている。製造の多くはシャツやジャケット、パンツ類などの衣服関係とバックや小物などファッション関係が多い。
現在、中国人が5万人〜10万人、韓国人が3,000人、日本人が300人位滞在してビジネスを行っている。中国人のバラつきがある理由は、エチオピアで産まれた子どもを正確に把握出来ていないのが理由だ(日本大使館関係者からの情報)。