早嶋です。
失敗を咎める文化が強く残る日本。失敗したその道のプロが徐々に組織から追いやられ蛻の殻に。そして気がついて見れば、チャレンジしないで上司のいうことをそのまま鵜呑みにする無難な優等生だけが残っていく。少子高齢化、日本市場の低迷というこの時代、そんな組織は一緒に衰退する。
失敗を咎める文化で最も危険な状況がM&Aの推進だと感じる。なぜならばM&Aの買収価格は通常最初から企業価値や事業価値の30%から60%程度がプレミアム分として上乗せているからだ。従って、その分を取り戻すだけでも真剣に買収後の活動、PMIが重要になる。
そのような状況においても失敗した担当者を更迭したり、組織の隅に追いやって存在を消すような文化では到底ノウハウが社内に蓄積されることはない。トップや経営人はM&Aの性質自体をもっと良く理解して失敗に肝要になる。失敗から学ぶ取組を真摯に受け入れるべきだ。
特に大きな組織において、M&Aを事業部の戦略として取り入れている。間違いではないが、事業部単位でM&Aを行うとウィンナーズカースや保有効果が働いてしまい、一度交渉をスタートした買収組織を客観的に判断することが難しくなる。そしてそこで失敗すると次からのいってでM&Aを検討することが少なくなり、もとのorganic growthで頑張ろうとするのだ。
大きな組織は事業戦略においての方針も企業戦略で打ち出して、事業全体のポートフォリオを明確にした上でartifical growthを取るか否かの判断をすべきだ。従ってM&Aの部隊はM&Aの知識ノウハウと同様に企業戦略を完全に理解していないと後での損失を大きくする。そのため理想としてはCFO直下にM&A部隊を配置して失敗と成功のノウハウを徐々に蓄積していくことが重要だ。