伝統的な考え方に『頑張る』がある。一生懸命に努力してリターンを得るというもの。しかし、ここまで市場経済が冷え込んで労働の対価が直接資本に還元されない現在は、その方針だけではうまくいかない。時に頑張らないことも重要。
例えば、一生懸命にモノを作り、売れ残ってもまた作る。製造業や農業などでもこの取組はよく観察されるが、この作戦が続くのは、経済環境が好調の時で市場が拡大し需要が供給よりも多い時。それ以外の時は頑張って一生懸命作っても逆効果になることもある。
もし、逆張りで数を一定以上作らず、敢えて品切れ感を出すなどをすると、逆に顧客が欲しがるもの。これはまさに作らないという選択肢。たくさん作って、競合と過度な競争をするよりも、敢えて競争しないという選択肢も存在する。
仮に、やったぶんだけの成果を求めるのであれば、経済が成長しているステージに自ら動くべき。例えば、フィリピンやインドネシアなど。このような経済環境では、労働の対価が直接リターンとして如実に返ってくるので効果は高い。が、日本のように経済成長がストップしていく環境では、従来通りの手法に疑問を感じることも大切だ。
かつてのイギリスの首相、チャーチルは「成長は全ての矛盾を覆い隠す」と表現した。まさに経済が上向きの時期の話しで現在は、覆い隠されていた問題がどんどん表出している。が、それに対しては思考することで対応しなければならない側面も多々あると思う。