ビデオカメラと言ったらソニーのハンディカム。しかし今ではアクションカメラの流れを創りだしたGoProに軍配が上がっています。
2014年度IDCの調査報告によれば、ビデオカメラ市場でGoProの世界シェアは42%、ソニーは19%で、既に圧倒的なシェアを確保しています。
そのGoProは7月の初旬に新商品を発売。HERO4セッションです。従来の製品よりも5割も小さく、4割も軽い。そして10mの防水機能を標準装備。これはまた売れるでしょうね。
GoProのカメラは手ブレ防止機能やズーム機能、そして映像を確認するモニターもありません。それは撮影する人が主役で、自分が活動している状況を記録して仲間とシェアすることを目的に開発されたからです。
そう、これまでのカメラの発想と全く異なるのです。GoProの創業は2004年。サーフィンをしている自分を撮りたいという発想が起点となり開発がスタートさらました。以後、スケボーやスノーボード、そしてモータースポーツなど、あらゆるスポーツシーンを記録したい方々に広まっていきます。
更に、2005年はYouTubeが登場する年で、2007年は世界的にスマフォが流行り始めるという再考のタイミング。世の中に動画でのコミュニケーションが普及するお膳立ても整っていきました。
現在、GoProには、GoProで撮影した消費者の動画の管理と編集を手がける専門家が50人以上いるそうです。彼ら彼女らの仕事は、投稿者の了解を得て、質の高い作品に編集を加えて、専門チャネルで紹介することです。この番組が更に世の中でシェアされてGoProのプロモーションにつながる仕組みです。
GoProの今後の展開は、クラウドサービス。撮影した動画が自動的にクラウドに保存されて、動画の管理や編集が自由にできる仕組みを構想されています。
GoProの躍進の背景は、
1)アクションやスポーツ撮影に特化したアクションカメラという新市場を創出したこと。
2)必要最低限の機能にフォーカスして、汎用部品や技術を組合せて低価格の商品を実現したこと。
3)そしてSNSを通じた波及効果を用いて一気に世界で普及を遂げたこと。
などがありますね。そして興味深いのは、GoProの模倣品をアクションカメラが急激に普及し始める2012年ころから大資本の企業が続々発表していることです。
2012年 ソニー アクションカム
2012年 JVCケンウッド ADIXXION
2013年 パナソニック HX-A100
2013年 東芝 カミリオXスポーツ
2013年 キャノン LEGRIAmini
等々です。
想像通り、GoProがぶっちぎりで他社の模倣商品の売れ行きは芳しくありません。ポイントは、後発の参入が大企業、大資本、多人数の組織、大量生産、自前主義の開発と製造ということです。
そもそもGoProはカメラの企画や開発は自社で行っているものの試作や製造や販売などは別の企業に委託して成長を遂げています。商品は模倣できてもビジネスモデルや組織の思考モデルそのものの模倣はできていないのです。
GoProの躍進は小規模ビジネスを行っている方々に夢と希望を与えますね。インターネット、3D技術、EMSなどによって、従来のサプライチェーンの水平分業が急激に進み、小資本、少人数の組織であってもアイデアひとつでメイカーとなって大企業の牙城を崩すことができるということですから。