ノーベル賞学者である江崎玲於奈博士の言葉です。賞をとるためにしてはいけない五ヶ条ということですが、新規ビジネスや事業の拡大を考える上にも当てはまります。
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しがらみにとらわれてはいけません。
教えはいくら受けてもかまいませんが、大先生にのめりこんではいけません。
無用ながらくた情報に惑わされてはいけません。
自分の主張をつらぬくためには戦うことを避けてはいけません。
あくなき好奇心と初々しい感性を失ってはいけません。
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新規ビジネスの大敵は多いに既存事業にあることがあります。既存の事業の利益を取るからそれはできない。でもその事業は既に衰退しているのに。また時には、既存のビジネスとのシナジーが無いなんて話もあります。が、そもそもシナジーがあれば、ともに朽ちて行くことも考えられます。前例がないからだめ。これも良くあります。過去の延長で行って事業がのびるのは、その市場が伸びている場合。過去の延長で市場がステイ、あるいはダウンしている場合は、衰退以外考えられません。そして、様々な階層の根回し。一つの意思決定に複数のはんこが必要な組織は既に大企業病で、誰もリスクを取りたがらない。従って、新しいことなど生まれることは無いでしょう。
事業を拡大する際や、新しいビジネスを展開する際に、すべてを知っている必要はありません。むしろ知りすぎていることで、そのバイアスから抜け出せなくなることもあります。逆に既存の知識の枠にない情報は急に耳を塞いでしまい、考えることをストップするかも知れません。
すべてにおいて調べないと行けない。情報が無ければ前に進めない。新しい事業そのものが仮説なので、無い情報は自分たちで前提条件をたてて推定して進めていくしかありません。どんなに権威のあるヒトでも、その情報を鵜呑みにするのではなく、自分の仮説の中で常に照らし合わせて考えることが重要です。
新しいビジネスに拒否はつきものです。必ず、誰かが都合がわるくなるので妨害を受けるかもしれません。あるいは上述した内容に当てはまり、いみの無い議論を繰り返すことで、時間を奪われるかもしれません。しかし、そのときでも、自分たちがやりたいビジネスで可能性があると考えるのであれば、貫き通す芯の太さは重要です。否定されて終了というのは寂しい限りです。否定されているのは、否定しているヒトの見方が一方こうに偏っているかも知れません。すなわち、提案する側は会社全体やそのビジネスの短期的な利点に加えて中長期的なシナリオ、全社とのバランスも示すと良いと思います。もちろん、その過程で自分たちの仮説が間違っている、筋が通っていなければ修正する必要はあります。強風に倒れることなく、でもある程度の風の流れを受ける。柳の木のような柔軟性が必要なのです。
事業を実現するにあたり、様々なしがらみにさらされます。様々な利害関係の方々から、様々なアドバイスを受けます。結果的に、当初考えたアイデアとは全く違った丸みを帯びたアイデアに変更することをよく見ます。そんなときは、再び自分たちの初めての初々しさに戻りましょう。なんの為に、新規ビジネスに挑戦するのか?気持ちの面でも折れてはいけません。