早嶋です。
産業競争力会議でも議論されていますが、新しい産業を作るためには規制の撤廃が必要です。しかし、一方で規制の撤廃は諸刃の剣で、直後には失業の山となる。新しい産業やビジネスが収益を上げ始めるにはやはり10年、15年の歳月がかかります。今の政治家や役人の中でそのような長期的な視野にたって意思決定ができるのか?疑問です。
長い間規制に守られると当たり前になります。規制によって守られているという立場が、今度は行き過ぎた保身につながる部分もあります。このメンタルブロックを壊すのは結構骨が折れる作業でしょう。
旧友が薬局についてコメントしたのを思い出します。当時は薬局は政治に守られていて、家業として継げば一生安泰だと。当時は距離規制があり近距離内に2件以上は存在できないなど手厚い制度に守られていました。しかし昨今はその距離制度の意見判断、医薬分業による処方業務の導入、先日のネット販売許可と状況が全く異なっています。薬局のM&A案件も他の業種と比較して頭一つ出ているイメージもあります。
別の知人は、学生時代に薬剤師免許を取得したら薬局で楽な仕事しながら時給2500円はもらえた、といったのを思い出します。現在では登録販売員制度の影響で薬局における薬剤師の価値は下がりつつあります、時給も大分低くなったのではないでしょうか。
薬局もそうですが、銭湯のような公衆衛生に絡む問題は単純に競争にさらせと言っているわけではありません。しかし過保護に守りすぎると本来法律が目的とした保護対象が国民の健康から既得権益につながってしまいます。これは本末転倒だと思うのです。
規制緩和で生活が厳しくなる人もいればその一方で恩恵を受ける人も多くいる。簡単な判断ではありませんが、産業突然死も悪い面ばかりではないと思います。
ダーウィンの進化論の「生き残るのは、強いものではない、賢いものでもない、変化するものだ」という言葉を思い出します。経済発展、技術進歩、自然環境の変化などが人の価値観に影響を及ぼす以上、世の中が定常状態にはなりえないのです。これは長い歴史が繰り返し証明しています。
規制や補助金によりかかる業界や企業は特に、それが未来永劫続くかのごとく事業シナリオを構築するとそれが致命傷となります。世の中は常に変化するという意識を持ち続け、適応する準備を怠らないことが大切だと思います。