早嶋です。
ソニーは、この1・2ヶ月で資産整理と現金確保を急速に進めています。
■ソニーシティ大崎、1111億円で売却 http://goo.gl/Ub9gK
■ソニー、NYの米本社ビルを売却へ M&A費用を調達 http://goo.gl/f1OQ9
(両ビルの資産価値はともに数百億~1千億円規模)
■ソニーがエムスリー株6%を譲渡、1150億円を営業利益に計上 http://goo.gl/kGPeU
■ソニー、DeNA株を野村証券に売却 約409億円の譲渡益を計上 http://goo.gl/nwE9W
このニュースを見ると、何を考えているの?と疑問がでますね。上記4つでざっと合計3,500億円の現金、下記の可能性が考えられます。
1)シャープ×鴻海のような、エクイティでの資金調達が苦しい状況
2)調達した現金を基に、どこかの株式をまた調達・売却してしばらく転売して手元資金の確保を更に進めるの
3)上記を売却してでも買いたい企業がある
同様に、ドニーは事業の売却と閉鎖も加速しています。
■化学事業は日本政策投資銀行に売却(2012年)
■電池事業(郡山)は産業革新機構のほか、鴻海精密工業(台湾)、BYD(中国)と交渉中
■一宮(2009年)、久喜(2011年)、美濃加茂(2012年)の工場を閉鎖
上記に加え、ソニーの利益剰余金の減りも大きくなっており、このままのペースで減少していくと2~3年でマイナスになってしまう。現金確保は必須ですね。
利益剰余金(単位百万円)
2008年:2,059,361
2009年:1,916,951
2010年:1,851,004
2011年:1,566,274
2012年:1,084,462
企業がキャッシュを確保する手段は、①利益剰余金の積み上げ、②エクイティファイナンス、③デットファイナンス、④資産売却があります。今回の場合は①、②、③共にあまりうまくいってないがゆえに、④をせざるを得ない状況です。手元資金が1兆円あっても、出ていくお金も数千億円レベル。この規模の運転資金を確保するのは容易ではないですね。
相次ぐリストラで得た資金の振り向け先が、「社運を賭ける」 と社長が断言するゲーム機(PS4)。過去、ウォークマンやPSといったエンターテイメント系ハードウェアで飛躍的な成長を遂げた歴史や、黒物家電がもはや収益を生み出せない現状を踏まえれば、PS4への注力はソニーとしては自然な流れと判断したのでしょう。
一方でこの判断、特に課金モデルに注目すると疑問です。PS2までは、見たこともないゲームに対して、本人がバイトに励む、プレゼントで本体をもらい、ソフトは自分の小遣いで買う。でも、ゲームがネットに繋がるにつれ、ゲームをすることで課金が発生する。このお金を払うのは?ずっと親から?と考えると、このビジネスモデルに社運をかけるというのはいかがなものか?と考えてしまいます。また、モバゲーなどに市場を奪われつつある昨今、どんな手を打てるのかは疑問。逆に、全く新しい(SONYらしい)イノベーションも期待したいところでもあります。