早嶋です。
サウスウエスト航空。1980年代、航空業界の規制緩和により多数の企業が新規参入します。が、参入した150社のうち殆どは生き残れず、大手11社のうち8社は破綻申請。 サウスウエスト航空の戦略は、低コストのフライト。そのためのルールはシンプル。しないことが明確です。
2都市間を結ぶ短距離限定(他社はハブ&スポークス)。一見すると、ハブ&スポークスにした方が、ヒトが集まり大量に運ぶことが出来るので収入があがるというのが大手飛行機会社の発想でした。しかし、実際は集客にバラツキがあり、空気を飛ばすこともしばしば。また、ハブから飛ばすことにより、他の飛行機の乗り継ぎに合わせたオペレーションが複雑になるためコストがかかります。しかし、2都市間を限定とすることで、飛行機は常に満員状態を保ち、荷物の積み替え等の乗り継ぎを意識したオペレーションも不要になります。
機体を737型機に限定。飛行機は機体の種類によってパイロットの保有する免許がことなります。従って沢山の種類の飛行機を飛ばすということは、それだけパイロットの確保が必要になります。また、万が一のときに、常に待機するパイロットも機種が一つでライセンスが同じならば効率があがると言う訳です。
追加サービスなし。オプション等の追加サービスをしないことで、不要なオペレーションがなくなります。これもコストを下げる大きな要因になっています。結果、上記は全て迅速な積み降ろしと発着に結びつきます。空港での発着が遅くなれば遅くなるほど、空港使用料が加算されます。この迅速なオペレーションもコストを下げる大きなポイントなのです。
結局、米国の航空業界は自由化の後、最終的に強烈な価格競争がはじまりました。その際、他社は安いサービスの提供を軸に運営を行うものの、採算が会わなくなります。一方、サウスウエスト航空は、上記の2都市間輸送、離着陸時間の短縮、徹底した合理化によって業界再考のコスト構造を実現します。結果、30期連続の黒字を計上しました。
安いサービスの提供は簡単でしょう。質の悪い材料とスキルのない人材を用いれば安易な簡単で安いサービスの提供は可能です。しかし、粗悪品のサービスを提供することは、いつかはしっぺ返しをもらうことになる。バリュージェットの墜落事故などはそれを象徴したかのようです。
戦略思考に基づくマネジメントにおいて、理念に基づくことは重要です。理念を実現するための制約条項は、常にそれを行うとしたら、どのようなことができるのか?という実現用件に変えて考えることです。その過程で、制約が整理され、戦略を遂行する上で必要なもの、例えば航空会社では機材の定期メンテナンス等、と不必要なもの、例えばハブ&スポークス等に切り分けます。
後は、トップのリーダーシプをベースに企業の中で徹底的に理念を浸透して推進していく。戦略思考に基づくマネジメントは成功を導く可能性が高くなるでしょう。一方、成功しにくい企業は単なる模倣、安易に制約条件を受け入れ、流れに任せてしまう企業かも知れません。