早嶋です。
何か買いたいな!って思うときは理屈ではなく感覚的なものですよね。だからこそ、マーケティングはいかに魅力を伝えるか?が大きなポイントになります。いかに目に見えない価値を表現して顧客に伝えるのか?これは需要な活動で日常的に取り組む必要がある行動の1つです。
上記を支えるための重要な活動が市場調査です。顧客の脳みその中がどうなっているのか?何を考えているのか?何故、その商品を買ったのか?何を思っているのか。これらは顧客ニーズという言葉で一括りにされているけれども、とてもとても大切な活動です。顧客を中心に分析をすすめ、他社や顧客が比較購買する相手と自分達の立ち位置を考える。とても重要な活動です。
ドラッカーは常に価値の創造と説いていました。マーケティングは価値の創造活動そのものと。例えばアップルのパソコンを手にしてからは、パソコンの概念が変わりました。仕事がらあっちこっちに行ったり来たりなので、移動時間の隙間や移動中に開いて閉じて仕事をしています。パソコンの中には殆どの情報が詰まっていて、クラウドで勝手に会社のパソコンと無意識にリンクする。フォルダがプロジェクト毎に社を超えて共有されていて、チームの作業が常に最新に保たれている。そんな活動をストレス無く提供してくれるツール。
他の会社はパソコンの価値をスピードやCPUのスペックや電池の持ちや薄さなどと一生懸命伝えています。しかし、そんなのは直ぐに真似されます。何よりも、いくらまくし立てられてもグッとこない。そんな時、故ジョブスは何も語りませんでした。ただ茶封筒から取り出して、ここにあるんだって。顧客に伝える価値はシンプルなほど伝わると思います。なんやかんや言われたら、どんどん、あんた自信ないの?と疑いたくなるでしょう。
これらは感覚的に行うという一面もありますが、論理的に行うことも大切です。そのためのSTP分析。消費者を様々な軸で切り分けてみる。STPのSはどのような変数で市場を細分化するのか?を徹底的に考えるフェーズ。そして、その切り口を様々に組み合わせては理想のセグメントを見つけます。地味であり、時間がかかる作業です。
初めから、ターゲットにフォーカスすると、イメージが固まってしまう。先入観から他の可能性を無視してしまう。様々な変数を使って考える過程で、想いもつかないセグメントを発見するかも知れません。ここは論理的と言うよりも感覚的な作業も含みます。何より、ターゲティングから入るとニッチを見つけることが出来ないでしょう。だから色々な変数を組み合わせ、自由な発想でセグメントを作っていく。
ボルボは安全という切り口を発見して徹底的に強調してきました。これは顧客に響き、1つの大きな価値となります。顧客が一度安全という認識が出来たら、多少高くても購買意欲がわくものです。これがSTPのP、ポジショニングです。一度安全という位置づけが出来たら、企業を更に徹底します。安全性を極めるのです。他の会社のくるまよりも安全な車を目指す。これが価値になります。まぁ、最近のボルボは、自ら安全を否定しているような気もしますが。スピード、オープンカー、馬力。どれも安全とリンクした価値ではありません。こうするときっとメッセージが薄れていくと思います。
アウディは決して後発じゃないけど、ベンツやMBWよりは若干マイナーでした。そこでMBWを意識して、BMWよりちょいと安い価格を提供しました。BMWをベンチマークすることで、上手にポジショニングをしています。STで商品のフォーカスを合わせて、最後のPでピッピッって決める。ポジショニングは一度企業が決めて価値を提供し始めると徐々に顧客の頭の中に定着されます。顧客の頭の中に位置づけられると、そのポジションをキープするために徹底する。ぶれてはいけないのです。