早嶋です。
グローバル企業がグローカリゼーションに加えて、リバースイノベーションを取り入れるためには次のようにマインドセットが必要です。それは、1)組織の重心を新興国に移すこと、2)新興国市場の専門性と知識を強化すること、そして3)個人としてハッキリと目に見える形でシンボリックな行動をとること。です。
グローバル企業のマネジャーと議論をしていて、次のようなワークを行ったことがあります。まず、世界地図を広げます。次に、自社にとって成長の機会がやってきている、或いはやってくるだろう地域や国に印を付けます。最後に、自社上位50人の主要メンバーが現在何処にいるかを一目で分かるようにプロットします。結果、人材のロケーションと機会は全く異なっていることが分かります。つまり市場の成長機会は新興国にありながら、人材は本店の近くにあるのです。
組織の重心を移動すること、すなわち、まずはヒト、モノ、カネの経営資源を成長している市場に移すことです。人材、権限、資金、注目すべき箇所に成長している市場にフォーカスさせるのです。その時の注意時点です。
◯重要な意思決定者を配置する。
◯新興国を監督するポストを新設して、独立した損益計算で業績を測定する。
◯新興国でのR&D費を予算化して、現地ニーズにフォーカスする。
◯低コスト化の実験を推奨する。
◯今後の自社企業のイノベーションを担う拠点として全社に明確に位置づける。
グローカリゼーションでの成功体験が強烈すぎると、リバースイノベーションの勝機を見逃すことが有るでしょう。従って、夫々を分けて考えることが大切です。そのためには新興国市場に関する正しい知識をみにつけ、認識を高めることです。意識して新興市場に着目して潜在的な機会を捉えることが重要です。その時の注意時点です。
◯ボードメンバーに新興国で経験を積んだリーダーを追加する。
◯社員に途上国で複数年の経験をつませる。
◯富裕国に在住しているボードメンバーは、途上国で短期間の集中トレーニングを受けさせる。
◯富裕国と途上国の経営幹部の交流を深める。
◯途上国でのミーティング、ボード会議、幹部向け教育プログラムを行う。
組織は常にリーダーの言動と同時に行動に着目します。従って、リーダーは目に見える形で行動を起こし雰囲気を伝えることも重要です。リバースイノベーションで今後も成長する企業にGEがあります。会長兼CEOのイメルト氏はその重要性を強調しています。同社の経営幹部600人が集まるグローバル・リーダーシップ・ミーティングでは新興国市場のビジネスに1日を費やし、20近くのプレゼンテーションが行われています。
新しいレンズで世界を覗いても意味がありません。今度は行動を起こす。組織ですから誰がまっさきに動かなければいけないか?考えると明らかなことばかりですが、非常に重要です。