早嶋です。
先日、妻と福岡にある星乃珈琲に行って来ました。昼時とあって大賑わい。年齢層も比較的高く、郊外の立地条件に店舗展開してる理由もよくわかりました。
星乃珈琲は、ドトール・日レスHD(※)が展開する新業態です。傘下のドトールコーヒーは1400店舗を超える展開をしていますが、その立地条件の殆どが都市部にありました。従って更に出店して売上を拡大するには限界があります。新業態のコーヒー店舗の開拓は同社にとって長年の課題でした。
星乃珈琲は上記を解決する1つの解決策です。2011年3月より出店を開始しました。ドトールと対極の郊外の路面店に店舗展開を行い、水とおしぼりを提供してテーブルで注文を取るフルサービス方式のお店です。店舗の内装は、アンティーク調の時計やソファーや照明で、ゆったりと過ごせる雰囲気を演出しています。
コーヒーはドトールの工場や店頭で自家焙煎した豆を使用して、注文を受けてから1杯づつ抽出する本格コーヒーです。初期の店舗展開は日本レストランの俵屋を業態変更して出店しています。俵屋の業態を星乃珈琲に変更した結果、従来の男性客に加えて、女性客や子連れ、シニア層まで幅広くターゲットが来店する店舗となりました。
フルサービスの珈琲店舗としてのメガチェーンは中部に本拠を置くコメダ珈琲があります。こちらは現在440店舗程度。星乃珈琲はこちらを視野に入れながらも、1杯づつ抽出する、窯焼きスフレパンケーキとこだわりのメニューを揃えて違いをだしています。
星乃珈琲のアイスコーヒーは器を銅器にして見た目のプレゼンにもこだわっています。また、スフレケーキも注文を得てから焼き上げるため少し時間がかかりますが、顧客はそれを覚悟で待っています。オーダーを取る時に20分と言っていましたが、わざと長い時間を示してその半分くらいで提供して、待ち時間の長さを短く工夫をしていると思います。
星乃珈琲は現在20店舗。1店舗の売上高は600万円〜800万円/月。計画では今期までに30店舗の出店としているので年間の売上は20億円から30億円程度になります。ドトール・日レスHDの年商は1100億円程度なのでまだまだ小さいですが、粗利が高い業態のようです。しかも、郊外路面店とビル内の両方の箱にフィットする業態とあって、今後の収益源としての成長を期待してると思います。
星野コーヒーはドトールと日本レストランがタッグを組んだことによって相乗効果をもろに発揮しています。郊外の店舗展開のノウハウ、ドトールのコーヒー生産。店でのコーヒーの出し方や他店化のノウハウ。また物流網もグループの物流に相乗効果が出て配送コストも下げることができています。
但し、強豪他者も黙ってはいません。キング、マクドナルドも郊外を中心に5年間で1000店舗のハンバーガーチェーンでカフェ併設の計画をあげています。異業種のイオンも来週から喫茶店に進出して50店舗の計画があります。駅チカセルフのドトールが日本レストランと組むことで郊外のフルサービスを展開する。この勝負の行方、注目ですね。
(※)ドトール・日レスHDは、ドトールコーヒーやエクセルシオールカフェを展開する株式会社ドトールコーヒーと、洋麺屋五右衛門などを展開する日本レストランシステム株式会社が2007年に経営統合して共同持ち株会社を設立した会社です。