早嶋です。
貿易収支が7月としては過去最高の赤字に。欧州債務危機に伴う海外経済の減速、原子力の稼働停止による火力燃料の輸入増と続きます。加えて中国の経済も失速ぎみで外需の減少が日本の輸出を直撃するシナリオが続きます。上記の要因は短期的なものではないため日本の貿易収支赤字は長期的なものとなるでしょう。
収支のバランスは入りと出。片方が多すぎても良くなく、バランスがとれている姿が良いとされます。近年、日本のサッカーが注目されています。香川選手のマンチェスター・ユナイテッドでの活躍は赤いユニホームの売れ行きを左右します。1998年まで日本のワールドカップへの出場すらならず、海外でプロとして活躍する選手も稀でした。しかし、今はどうでしょう。日本代表の半数は海外で活躍しています。しかも香川選手のようなビッククラブも含まれます。
欧州のビッククラブにとってもアジアの市場は魅力的でしょう。飽和状態の欧州と比較して、放映権の販売、グッツの売れ行きでクラブチームとしては売上高の増加の余地が十分にあるからです。その近道として、アジア選手の活躍は彼らからしても美味しいとおもうところ。
また、彼らの海外マーケティングは見事です。強豪バルセロナは毎年、シーズンオフにはインド、ベトナム、シンガポールばどでサッカー教室を実施しています。各地でチームのユニホームを着てもらいファンを増やし、才能ある子どもは自国に呼び寄せ将来のスターへと育てます。
国内のサッカーが強くなったのにJリーグがあるでしょう。現在は、国内の強化とマーケティングを兼ねてアジア各国でサッカークリニックを実施しています。タイヤやベトナムではJリーグの放映も始まりました。しかし、海外の選手が日本で活躍するには、まだまだしばらく時間がかかりそうです。その一方で、国内の優秀選手は海外流出を行う。ここにも収支バランスの悪さが目立ちます。
日本人が海外で活躍するのは非常に嬉しいことですが、海外の優秀な人材を取り入れて日本の経済や世界の経済を活性化することも考えないといけません。世界の主要企業のトップの1割以上は、その国の人以外が最高経営責任者という立ち位置。特に、オランダは3割、スイスは7割を超えています。日本ではゴーンさん以外に想像できませんね。海外の優秀なプレーヤーが活躍しにくい仕組みや文化なのです。
これは役員レベルにも言えることです。トップはおろか、その企業の役員レベルにも邦人以外がなれないのであれば、優秀な人材は集まりにくいですよね。他方で優秀な人材はスポーツにかぎらず海外の企業に流れています。人材という意味でも収支がマイナス。
グローバル化を外にすすめるのも重要ですが、企業の内部をグローバル化していくことも重要です。