早嶋です。
JTは2012年8月にマイルドセブンのブランドを全世界においてメビウスに変更する発表をしています。これに合わせてデザインも世界で統一します。
JTは1999年に米国のRJRナビスコ傘下のウィンストン、キャメルを買収しました。国外ではマイルドセブンよりもこの2つのブランドが有名です。現在、ウィンストンは85カ国約1300億本、キャメルは91カ国約400億本の販売です。一方、マイルドセブンはアジアやロシアを中心に17カ国約760億本の販売です。
今回のブランド戦略は、マイルドセブンを世界展開ブランドにするたの策です。
JTの売上(2012年3月期)を見ると連結で2兆338億円。内訳は、国内たばこ事業が31.8%、海外たばこ事業が47.5%、その他医療薬品や食品飲料事業が20%。事業の伸びを考えると国内はステイもしくはダウンですので、今後は海外事業の比率を更に高くする必要があることが分ります。実際、日本の喫煙者率は現在20%程度で17年間連続で減少しています。
マイルドセブンは、国内ではタバコをすわないでもその名称を知っているブランドです。実際、JTを代表するブランドで35年間も慣れ親しんだ名称です。1977年に販売が開始され、1978年からはずっと国内ナンバーワンシェアの銘柄です。今回は、マイルドセブンのブランド名をメビウスに変更して、新たに全世界で販路を広げたい意思でしょう。
その背景は、それぞれのタバコのポジションです。JTは、ブランドのポートフォリオを整理して、全てのそうに対応したいと考えたのでしょう。リーマン・ショック後、景気の悪化に伴って喫煙者が安価なブランドに流れる傾向が顕著に出ています。先のウィンストンはサブプレミアムの価格体。低価格のブランドの必要性を感じ、ベルギーのタバコメーカーを買収しています。つまりサブプレミアムのウィンストン、低価格帯のCrysonと粒と揃った。そんな時にプレミアムゾーンのブランドが欲しくなったのでしょう。
ブランドを構築する場合、1)マイルドセブンそのまま、2)新しいブランドという選択肢があったと思います。しかし、マイルドという表記が一部欧州で認められないため、ブランド名を変える必要がありました。そこで選択肢は2)が選ばれます。2)を行うとしても、従来のようにマイルドセブンが馴染んでいる地域17カ国ではそのまま使い、他の新しい地域に対してメビウスを使用するというアイデアがあったはずです。それをすべてのブランドを統一する方向で動くという意思決定を行った。
仮に、この決断を迫られたら、マイルドセブンは残すと思います。そもそも、17カ国ではマイルドセブンのポジションは1箱410縁でサブプレミア。名前を変えてプレミアムゾーンに持って行くのであれば、マイルドセブンを残し、新たにブランドを構築したほうが良いのではと思います。コストは大きく変わらないでしょう。そして、新たに立ち上げたメビウスをプレミアムに仕上げていく。
マイルドセブンをブランド変更して、サブプレミアからプレミアにするのには、17カ国の喫煙者からするとコンフリクトがあります。ブランドを刷新するコストもおそらく、ゼロから作るコストも大きく変わらないと思います、今回の規模では。
だったら、マイルドセブンの価値をゼロにする意思決定は理解し難いです。