早嶋です。
米国のキャタピラー社に次いで世界で2番めの建設機器メーカー。そして、意外と知られていないけれども「ビックデータ」を日本で最も駆使している企業のひとつです。ビックデータとは、近年IT業界で注目されているキーワードの1つです。
コマツは業界が騒ぐその前からデータを企業経営に有効活用していました。特に建設機器に取り付けたGDPセンサーを利用した活用方法は業界の5年先をいっていると言われるほどです。そのシステムの名前はKOMTRAX(コムトラックス)。一言で言えば、コマツの建設機器の稼働状況を遠隔監視できるシステムです。
現在では、建設機器の現在の位置、稼働時間、稼働状況、燃料を入れた時期、燃料の残量、消耗品の交換時期などを全てサーバーで監視管理できます。コマツはこれらのデータを衛星通信や携帯電話通信を使って1つのデータベースに蓄積しています。そして世界各地にあるコマツの支社や販売代理店の社員は、このデータにアクセスできるのです。
当初、コマツ系列のレンタル会社でブルトーザーやショベルカーなどにGPSを搭載して、それぞれの車両の位置情報と稼働状況を把握していました。目的は配車効率を高めること。結果、盗難などもなくなり維持管理コストが削減するメリットがありました。そこで2001年にコムトラックスを国内市場で標準化。その後、欧米、中国へど拡大します。現在では、フィリピン、ベトナム、南アフリカなど世界で70カ国、26万台以上の建機に導入されています。
では、コムとラックスによって何が変わったか?です。例えば、建機の正確な稼働時間のデータがあるので、事前に消耗品の交換が必要な部品を特定して保守サービスの効率化を測っています。例えば、燃料の使用量を分析して、効率的に使っているユーザーとそうでないユーザーを分析します。これによって燃料効率の研究に活用したり、顧客に有効な使用方法をコンサルすることもできます。これは顧客にとっても保守メンテナンス、ランニングコスト、稼働しなかった時の機会損失のロスを防げるとあって講評です。
更に、26万台もある建設機器のデータによって建設需要の予測が行えるようになっています。例えば、建機の可動が急増している地域や減少している地域の傾向が分析できます。需要動向が他社や他のアナリストよりも実データで正確に予測ができるため在庫コントロールや生産量の適正可動が可能です。
他にも、ユニークな取り組みがあります。中国では建設機器は個人事業主が買い、第三者にレンタルするモデルが主流です。個人事業主ですのでこれまで、与信管理や資金回収が難しい部分も有りました。コムトラックスによって稼働状況がわかるため、簡単にその個人事業主がビジネスとして成り立っているか否かが分かります。また、コマツの機器には遠隔ロックシステムもあるので、返済が遅れたり、悪質な個人事業主に対してはエンジンを止める事も可能なのです。これによって、返済を促すのです。
ダントツ経営を推し進めるコマツ。ダントツ商品。ダントツサービス。ダントツデータ活用と他社が3年から5年かけないと追いつけない仕組みを構築しているのです。
■コマツ
連結売上高1兆8431億円。2010年実績。売上の9割近くが建設機械、車両事業。そして注目はその16%が国内で残りは海外。とグローバル化をいち早く進めている企業の1つ。