早嶋です。
我々は優良な情報を共有するようにDNAに組み込まれているようです。鳥のコミュニケーションに注目した実験です。その中でもカラス。カラスは彼ら自身のバズ(口コミ)を持つと言います。バーモント大学のベルン・ハインリッヒ博士の研究チームはカラスがどのように餌を見つけるのかを研究しています。
ある農家から牛の死骸を入手し、森の中に隠します。そして数日後、一羽のカラスが現れます。牛の死骸はカラスにとって一冬を越すには十分の食糧です。このカラスは、一口もその牛を食べることをせず、飛び立ちます。そして数日後、数十羽のカラスを連れて戻って来ました。
カラスは集団で餌を探して、その情報を集団でシェアしているのです。秘密裏にして一人締めしたほうがいいように思いますが、そうでは無いことがカラスにとっても明らかだったのでしょう。多くの目で餌を探すことで、長期的に見てカラスの生存確率が高くなることを過去の経験から知っているのです。そしてそれはDNAに刷り込まれている。
これらの行動は、蟻、蜂などでも観察できます。口コミ(buzz)の元祖は蜂ですからね。ということは人間にも然りです。生存率を高めるために有用な情報は共有するようにインプットされているからです。この仕組を解明できればどのように口コミを誘発できるか?プロモーションの1つの方法に役立てることができますね。
他にも人が人に話す目的はあるようです。例えば結びつきを求めるためです。コミュニケーションの機能の1つに連携と社会的な結びつきを得ることがあります。ある言語学者は、これをグルーミングと結びつけて結論づけています。霊長類の小集団は、グルーミングによって連携を維持しています。しかしグループが大きくなるに連れて、すべてのメンバー動詞がグルーミングをすることが難しくなる。そこで連帯感を効果的に高める道具として言語が発達したと。確かに、我々は言葉によってグルーミングをしていますよね。
カラスの行動のよに、リスク、コスト、不確実性を減少させるために話をすることも考えられます。一人が一生懸命探すよりも、複数で探したほうが時間を節約でき、見つかる可能性が向上します。人が病気になってお医者さんを探す時、複数の人の話を聞きたがります。医者を探す時間的なコスト、実際に医者に支払う金銭的コストに加えて、心理的なコストを抑制したいと考えているからでしょう。特に初めての分野、経験の無いことはこの傾向は強くなるでしょう。また、その人によって金銭的なコストが大きい製品やサービスの場合もしかりです。ってことは、そのような商品に代表されるバズは、複数の専門家、複数のヘビーユーザー、などジャンルを超えたランダムな洗練された声があることがバズを誘発するきっかけになるのです。
少年時代の夏休み。親元を離れてキャンプファイアーを囲んで話をする。いつしか将来の夢や今抱えている不安を共有する。人は不安を抑えるために人に話をすることもインプットされています。人に話をすることで、何ら状況は変わっていないのに不安が取れる瞬間が今でもあります。冷凍食品の餃子を食べて健康障害が起こった。その餃子はごくごく一部のあるロットの中、そして原因は食べた人がいたずらに、毒を持っていたにも関わらず。すべての冷凍餃子が一時的に市場から消え、中国からの商品にまで影響を及ぼしました。不安要素は瞬く間に人を介し世間に広がる性質を持つのです。