水の宅配サービス大手の攻防が著しいですね。首位はナック、2位のアクアクララです。
ナックは、お役立ち企業という創業以来の理念でレンタルビジネスと建築コンサル事業をベースに、事業展開を進める企業。1971年にナックは992番目のダスキン加盟店としてダスキン鶴川というストアブランドでスタート。
以来、首都圏を中心に躍進。昭和59年に名実ともにトップディーラーの地を獲得します。そして平成11年には九州地区大手のダスキン博多を手始めに、その後相次ぐM&Aで成長を遂げています。ダスキンの加盟店としては、全国2450ある加盟店中、売上No1。清掃用品のレンタルからトータルクリーンサービスへと年々成長を遂げている会社です。
アクアクララはボトルウォーターの製造と宅配事業を専門に営む企業です。2003年、三井物産の社内ベンチャー事業として設立スタートし、FC解明会社が自ら製造プラントを持つ、加盟会社の既存販売網を活用する、小規模の事務所や家庭をターゲットとする、方針で全国展開を図ります。しかし、2004年11月に民事再生法を申請し、2005年レモンガスによって新法人として再スタートしています。
ナックが展開するブランドはクリクラ。クレヨンしんちゃんをイメージキャラクターに採用して、2013年3月期の広告費を12億円と前年比3割増しにしています。またこれまで年に1店舗の直営店の進出のスピードを一気に加速して、年に4店舗増加する計画です。ナックの水ビジネスでの売上も150億と前年比で15%アップの計画です。
これに対して2位のアクアクララはベビー用品のコンビ、携帯電話販売の光通信などと協力して顧客開拓に力をいれています。昨年は、タマホームや穴吹工務店と提携して、住宅購入者への宅配水の利用を販促して契約を取りついぐ作戦をスタートしています。今期は、30社との提携で売上68億を見込みます。
このような攻防を繰り返す背景は、大手飲料メーカーや異業種の参入が相次ぐことが考えられます。飲料大手では、サントリーが主力の天然水ブランドを使用して家庭用の宅配水事業に本格参入。ヤマダ電機も全国60店舗の量販店で宅配水の取り扱いをスタートしました。また中規模の企業の参入などを数えると、その激しさがわかります。
現在、日本国内の水宅配市場の規模は1110億円(日本宅配水協会調べ)。昨年比22%増なので市場の成長が激しいことが分かります。一方、ナックの執行役員の話では、家庭での宅配水の普及は5%程度。予測で10%までの普及と踏んでいることから、国内の市場規模は2000億円で頭打ち。仮に今後、20%で成長するとしたら、来年は1320億、次年度は1580億、3年目で1900億。つまり、ここ2年から3年目で、シェアを固めることが勝負どころですね。
ナックとアクアクララの課題は、価格安に対向できるブランド、仕組みを作れるか?です。2社のモデルは、使用済の容器を再利用する方式。従って、回収には自前の配送網が必要になります。一方、新規参入組は使用後に容器を捨てる方式を採用。ここに低コストで利益を得れる仕組みの違いがあります。
全体の市場規模が1100億円。ナックとアクアクララを合わせて概算で約220億円。という事は合わせて2割のシェア。つまり、このビジネスはまだまだプレーヤーの立ち位置が明確ではないため、皆がチャレンジャーとして戦っていることが分かります。ナック、アクアクララ。首位と2位といいながらも、まだまだ攻め続けて行かなければ、市場が飽和する3年後には他社や他業種に地位を追われているかもしれません。