法人向けにビジネスを行っている企業をB2Bと称した時に、良く聞く言葉。マーケティングの考え方はB2Cであって法人向けに活用出来ない。果たして本当か?早嶋は否と否定します。
現に、数十億円の産業材の販売支援を行っていた時の教科書はスターバックスの事例であったり、コカコーラが行っているマーケティングでした。そしてB2Bに対してコンサルティングを提供させて頂く場合、B2BとB2Cの違いを確認しながらも両方の事例を参照に戦略を立案して行きます。
マーケティングで大切にしている要素の中で、ベネフィットがあります。これは、顧客が買う理由です。なんでその商材を買うのか?に対する答えです。B2Cの場合、これが良く分からないというのが正直なところだと思います。顧客の95%の消費が無意識に行われているからです。いや、顧客はアンケートに理由を添えて書いてくれるよ!と思うかもしれませんが、その時は企業が問うから、その時に考えた、というのが正しいでしょう。
何故かったの?と言われても良く分からないけれども、良く分からないと書くと、バツが悪いから、最もらしい理由を書いておこう。場合によって、自分が考えていることを正確に言語化できることも難しいと思います。そんな訳で消費者向けのマーケティングにおいてベネフィットを特定する作業は極めて難しく永遠の課題になっていくとおもいます。
でも、B2Bは違います。確実に買う理由があります。その商材を使って自社のビジネスを更に行いやすくするためです。つまり、長期的な利益を上げるための仕組み作りに貢献することが出来れば、B2Bに対しては買う理由を提供できたことになります。これを考える場合は、その企業が最終的にどのようなビジネスを行っているのか?全体像を把握する事が大切です。
クライアント企業で法人向けに電動アシスト付き三輪車を提供している企業があります。この企業が売っている商品を自転車と捉えると金額が高い!と思われるでしょう。実際に、法人向けの提示価格は1台あたり20万円から30万円程度です。商品についてフォーカスするとかなり高い印象をうけるでしょう。しかし流通業界が直面している課題を解決するものと提案した場合は急に魅力的な商品になるのです。
改正道路交通法の影響で流通業界は集配効率が著しく低下しました。これまで路駐して荷物を集配していたのに、それが出来なくなったからです。始めのうちはバイトをトラックの助手席に乗せていて停車の状況を作っていましたが、人件費が2倍になるため、長く続きません。次に、100円パーキングを利用して、そこを機転に荷物を集配するようにしましたが、100円パーキングが常に空いている訳ではないので、効率が悪いままです。
そこで比較的に人口が密集している地域では、1階のロードサイドに面する建物を借りて、そこを中心に荷物を運ぶ動きが定着しました。そして、その時に運ぶ手段が台車です。1日あたり、一人の担当者が集配する荷物が平均して140個前後。これまでのようにトラックを使っていても12時間程度の時間がかかっていました。それが台車を使うことで効率が一気にながし14時間を楽に超えるようになります。
そこで電動アシスト付き三輪車の登場です。道路交通法上、軽車両という位置づけですので荷物を集配する時に歩道に停車していても一定期間は問題ありません。台車付きの自転車ですので荷物も効率的に集配できます。この自転車を使うことによって、これまでの平均的な集配時間である12時間を達成てきます。
つまり、荷物の集配効率を14時間から12時間に短縮できるためのツールになったのです。例えば、集配するための人件費が1000円/時間だとすると、1日あたり2000円のコストを削減できる商品なのです。1ヶ月では30日なので60,000円。つまり、3ヶ月で十分に基が取れる商品なのです。耐久年数が2年程度なので、このように企業の使い方や使途を提案することが出来れば、企業にとってはものすごくありがたい商品になるのです。
この発想自体は、顧客のベネフィットを徹底的に考え、その解消を商品として提案するです。これは最も基本的なマーケティングの発想です。また、相手の法人企業のビジネスをやり易くすることを考えると、その企業が最終的にどのようなビジネスのスキームで利益を上げているのか?を理解することがとても大切なことが理解できます。B2Bのビジネスにとって、提供する企業はクライアント企業の仕事がやり易くなることを提案できたらいいのです。
クライアント企業がB2B向けのビジネスを行っていたら、最終消費者のことまで考えて提案することが最も効果的な提案になります。そこまで自分たちのビジネスを考えているのね?と顧客は相当に喜んでくれることでししょう。これぞ究極の顧客志向と言う訳です。