早嶋です。
戦略の本質は違いを創ることです。そして、その違いは、だれもが比較できるbetterの違いではなく、何かをしないとというdifferentが大切です。その意味で戦略はしないことを決める!とよくいわれています。そして、しないことを明らかにしたあとは、その違いを構築する仕組みを組織に落とすことが大切です。これは言葉で表現するのは極めて容易ですが、実行するのは大変な仕事です。今回は、その違いをどのように構築していくのかについて、考えてみます。
ポイントは、個々の要素を絡め合い、つなげていくことだと思います。ここの要素がどんなに素晴らしくても、全体としてまとまりが無ければ、戦略として成立しない場合が多いです。そのために経営者は常に全体最適で、なぜ、そのようになるのか?何故、結びつくのか?何故、絡めていくことができるのかを深堀することが仕事の一つになると思います。
違いを創る過程は、大きく次の事を考えていきます。まずは、結論を明らかにすることです。戦略のゴールは長期的な利益を上げていくことです。そのためには、WTPを上げるか?Cを下げるか?のどちらかの選択になります。そして、そのゴールをどのように実現していくのか?シナリオを考えていきます。シナリオを考える場合、全体のコンセプトを一言で表せるように、何かキャッチーなものを考えておきます。例えば、スタバのコンセプトは第三の場所の提供です。ブックオフのコンセプトは、捨てたくない人のためのプラットフォームの提供です。もちろん、さっ、とコンセプトが出てくるわけではありません。議論を繰り返しまとまって行くものでしょう。
そして、それらのコンセプトを実現するための構成要素を考えます。ここもバラバラではなく、常にコンセプトに結びつけていきます。そして、違いを創るために最も大切な要素は、一見他社が見たら非合理なんだけれども、全体の戦略のシナリオを考えていけば、なるほど!と考えることができるウィットな要素を絡めておくことです。この要素は、一見非合理に見えるので、他社が模倣しようとしないので、結果、明らかに違いが産まれるのです。
例えば、スタバは店舗展開を行うとき、全てを直営にしています。直営で展開をすると、ROAが小さくなります。従って、他の競合や株主からは、何故?と思われたでしょう。スタバにとっては、ここウィットなところです。コンセプトの第三の場所を実現するために大切なポイントです。通常、職場と家庭以外ののんびりできる場所で、週のうちの2,3回来てもらうためには、立地条件が良い場所に出店します。しかし、顧客には、のんびりお店の中でくつろいでもらうために、回転率が悪くなっても、そのコンセプトを統一するために経営を行います。もし、FCであれば、この点は矛盾が生じてくるでしょう。店舗の売上を上げるためには、価格や営業時間は決められます。すると、オーナーだったら少しでも回転数を良くして、効率的に販売したいと考えるでしょう。でもこの行動は明らかにコンセプト違反です。と言うことで、全体としては、FCでの展開は、第三の場所を実店するには不向きだったのです。
最後に、大切なことは、上記のシナリオに一貫性があることです。ここの要素が尖って無くても、全体として良くまとまっている、全体として素晴らしく統一していることがポイントです。