早嶋です。
戦略の本質は違いを作ることです。このことについて経済学と経営学を比較すると理解が促進すると思います。経済学の考え方では、完全競争市場では、最終的に価格が均衡します。これは完全競争によって違いがなくなるからです。となると製品やサービスを購入する消費者に取って、最も安く提供して頂くでしょうが、企業は儲かりません。経済学は効率的な世の中を作ることにフォーカスされます。
一方、経営学はどうでしょうか?やはりこちらのゴールは利益を創出することにあります。そのために経済学と真逆のアプローチを取ります。つまり、完全競争ではなく違いを創出していくのです。違いを創るということは利益を生み出す素地を創ることにつながります。
従って経営学では、競争戦略という概念は極めて大切になります。この場合、全社戦略ではなく、事業戦略がフォーカスされる場合が多いでしょう。例えばパナソニックのテレビ事業と東芝のテレビ事業の戦いで、会社毎の戦いとはスコープが異ると言うことです。従って、ここで言う競争戦略は事業毎の競争にフォーカスしていきます。
ところで、事業のゴールってなんでしょう?色々あると思いますが、利益を長期的に確保することが大切だと思います。勿論CSが一番大切!シェア、成長、社会貢献、企業価値の向上、ESと多々あります。しかし、利益を確保しなければ上記の全てを行う事はできません。従って、ゴールは長期的な利益の確保、目的はCSと言ったところでしょう。但し、この考え方はヒトによって様々かもしれませんね。
仮に、利益にフォーカスすると、利益を得やすい環境や事業というのが存在するでしょう。ビジネスの例の前に、スポーツの例を見てみましょう。例えば、世界的に成功しているサッカー選手。これが20年前だったら、今と同じように沢山の報酬を得れていたでしょうか?きっとまだまだ日本ではサッカーの認知も薄く、今と同等の金額を獲得することは難しかったのではないでしょうか?例えば、卓球の一番の選手と、野球の一番の選手では、業界が違うので、同じ一番でも野球の方が大きな報酬を得やすいのは明らかです。
極端な事例を出しましたが、これはビジネスにもあてはまります。そこで、競争戦略を考える場合はまず自分達の事業が面している業界の構造をおさせます。いわゆる5force分析です。例えば、現在の航空業界は極めて利益を得にくい構造になっていますが、製薬業界は未だ利益を確保しやすい業界です。製薬業界が利益を得やすい構造の理由は買い手の交渉力を分析を見れば明らかです。多くの薬は保険の対象ですから、価格の7割は国が負担する、という構図を見ると航空業界のそれとは明らかに異なります。業界の大雑把な構造が分かれば、戦略を立てやすくなります。つまり、どのように違いを構築するのか?の道筋です。