早嶋です。
戦略の本質は違いを創ることです。そもそも違いとは何でしょうか?例えば、次の質問に答えてみてください。自社あるいは、想定する企業はどのような違いがあるか?です。いくつか羅列するまで、次を読まないで下さいね。
例えば、パソコンの違いを上げたとします。液晶が薄いとか、バッテリーが長持ちするとか、ソフト処理が早いとか、軽いとか。これらは全てどちらがベターか比較することが出来ます。つまり何かを基準にすると物差しがあり、その物差しで比較することが出来ます。つまりベターという違いです。例えば、シックの4枚歯とジレットの5枚刃も同様の違いですね。
しかし違いには、もう一つあります。例えば、同じパソコンでDELLを考えてみます。コモディティーしかしない。見込み生産はしない、全てをBTOでう。基本モデルの種類を増やさない。先端的な技術を追わない。組み立て工程でアウトソーズをしない。です。いかがでしょうか?こちらはどちらが良いのか?例えばスペシャリティーが良いのか、コモディティーが良いのか?どっちがよいという物差しが無く、Differentという違いです。先ほどのBetterとの違いと異なりますね。
前者のBetterな違いはOperational Effectiveness(OE)で後者のDifferentな違いはStrategic Positioning(SP)です。つまり、OEはもっとがんばろう!もっと良くしよう!という違いですが、SPは何をしないか!を明らかにすることです。戦略で重要なのはSPであり、何をしないかを明らかにすることです。端的には、doing different thingsであり、doing things betterでは無いのです。
戦略を構築する場合、先ずSPを明らかにします。そして次に、その違いがを他社が模倣できないように組織の中に違いを構築する仕組みを作ります。これがOrganizational Capability(OC)です。例えば、シェフが味付けを決めて、どのよな味にするかを明確にします。全体的に甘めにしない等です。これはSPですが、それを実際に実行するための厨房での動きはOCになります。レシピを決めるのは意思決定や選択という要因が強いですが、厨房の中は組織の能力とかそこで培ってきたチームワークの蓄積などが大切です。但し、SPとOCは概念的な区切りですので、全てを明確に線引きできるものでもありません。
違いを創るためには、三枚か四枚か?というOEの違いではなく、何をしないか?というSPとそれを実行するためのOCが必要なのです。SPがWhatとするならば、HowがOCになるのです。セブンイレブンは個々のお店に発注の権利をもたせました。つまり、本部が発注する事をやめたのです。これはSPですが、それを個々の店で実行するのはOCです。各自が仮説検証を繰り返しながら、その組織に定着しました。OCは地味で暗黙的な要素をたっぷり含んでいるものなのです。