ドラッカーの著書の中で、人口動態は将来を読める統計情報、という旨の記述があります。先日のドラッカー学会の中で、この事にフォーカスして議論する機会がありました。
●40代頃より、自分の第二の人生を見据えながらマネジメントをする事が必要
●急に上層部が引退してマネジメントや技術のノウハウが空白にならないようにすることが必要
ドラッカーが上記のような事を言っているのが発端でした。
日本の人口構造は極めて歪な形をしています。若い人が少なく、年齢が高い方が増えています。日本の経済が鈍い理由も、ここにあるのかもしれません。お金を使いたい世代である20代~40代は人口が減少しています。さらに、その世代は、本来お金を最も使う時期ですが将来の不安があり、なかなか大きな消費を行えないでいます。しかもキャッシュフローが決して十分とも言えません。
一方で、今一番お金を持っている世代である60代以降は、消費をするかと言えば、違います。既に家のローンも終わり、子供も育っています。特にお金を使う事はあまりありません。趣味に使うと言っても大きな投資は控えています。お金を持っているのに使わないのです。
昔、金さん銀さんという100歳の双子の姉妹がいました。彼女たちが100歳のときのお祝金に100万円を貰ったときのコメントを強く覚えています。「将来のために貯金します。」
なんと、使うことより溜めることが好きな国民性かと思います。今後もますます、お金を持っている世代はお金を使わないでしょう。使いたい世代は持っていない。この現象が如実になり経済の源泉であるお金が流動しないのです。これが経済が低迷する一つの理由かも知れません。
歪な人口構造は、日本全体のみならず、企業の中にもその縮図があります。50代後半が圧倒的に多く、若い世代が少ないのです。極論を言うと、今後数年間は大量に会社を離れる世代が増えるでしょう。ここに一つの課題が残ります。技術やマネジメントなどの継承です。
大きな企業はこのことに徐々に危機感を持ち対策を打つでしょうが、実際にノウハウを形式化する作業は非常に困難だと思います。それは通常の業務をこなしながらも、ノウハウや技術を第三者が見て分かる形にする必要があるからです。中には体に染みついていて、表現することすら難しいこともあるでしょう。