2009年、ハッピーターンがブレーク。現在、亀田製菓の水原工場は人気商品のハッピーターンのラインが24時間フル稼働です。
ブレイクしたきっかけは、ハッピーパウダー(せんべいにまぶす粉)を増量した200%商品をセブンイレブン専用で発売したことです。そのご販売チャネルを拡大する一方で、ハッピーパウダーをだらに増量した250%商品を提供。こちらも発売後1カ月間、セブンイレブンの菓子分類の売上でトップを取り続け、現在も上位の売れ行きを示しています。
ハッピーパウダー増量のきっかけは若年層顧客にあります。亀田製菓には、以前からハッピーターンの粉を増やして欲しい!粉だけ買いたい!という声が多く寄せられていたらしく、これを受けてセブンと共同で企画して誕生したそうです。
ハッピーターンは1977年に発売された商品で、第一次オイルショックの影響から不景気だったことから、ハッピーがお客に戻ってくる(ターン)ように願いを込められて名付けられた商品です。確かに小さな頃から食べていて、手に付いた粉を口にくわえて楽しんでいた記憶があります。
そのハッピーターン。ここ10年程度で商品の改良を6回も行っています。特に味わいを増すためにせんべいの表面に溝をつけています。この溝こそハッピーポケットと呼ばれ、凸凹をつけたり幅を広げたり数を増やしたりして改良を続けていたのです。
面白いのは、この改良と今回のブレークは当初、意図していなかった点。殆ど広告宣伝を行っていなかったのに、急に10代から20代のファン層がSNSなどで口コミを広げ支持層が増えていたのです。
亀田製菓は2000年に初めて営業赤字を計上します。これをきっかけに構造改革をすすめ、3200人いた社員を2001年には2700人に削減。500種類あった商品を半分以下に絞り込みます。それから広告宣伝なども控え体質を改善して売上と利益を回復させました。
そして2006年から同社の主力商品である亀田の柿の種、ハッピーターンなど売上上位8ブランドに商品を絞り込み経営資源を集中させるトップ8戦略を実施しています。この成果もあり、柿の種は単独で約160億円の売上を上げるまでになっています。現在、亀田製菓は2013年に売上1000億を目標に世界のスナック菓子市場でベスト5入りする目標を掲げています。
早嶋聡史