山西農園という会社は興味深いです。本業は土木ですが農業に進出しています。何故か?と言えば、土木の本業の中に、四国の高速道路の路肩の草刈りというのがあったからです。草を刈れば大量の雑草がゴミとなります。これまでは、同社で燃焼させることで処分していました。
ある時、この雑草の利用を考えたのです。そう堆肥です。これはある意味発想の転換でイノベーションです。焼却コストがかかっていた雑草が、肥料として活用することで経済価値を生んだからです。雑草から作った肥料は植物性の有機肥料です。現在、有機農法は注目されていますが、市場に出回っている有機肥料は牛フンなどをベースとして動物性の有機肥料です。
これを上手く活用して、植物性の有機肥料ですよ!といって農作物に使用して付加価値を出しているのです。動物性が悪いのかしら?となりますよね。別に動物性の有機肥料がNGと言っているわけではないですが、植物性の有機肥料だから野菜が美味しい!なんて唄うと何となく美味しい野菜に聞こえるでしょう。
山西農園が現在力を入れている分野が耕作放棄地の活用です。もとは桑畑として利用されていた大量の土地が長期間放置されていることに着目します。そこには雑草や灌木が生い茂っているため、通常の農家が再び農作物を作れる土地にするのは一苦労です。
そこで土木のバックグラウンド発揮です。その土地に重機を入れて一気に耕すのです。ブルトーザーで雑草と灌木を一気になぎ倒し効率的に耕します。うーん、この荒技は農家にはできないですよね。山西農園は、ブルで耕した農地に、自家製の植物性の有機肥料を加えて土地を豊かにしていきます。
農業の最大の問題は生産性ではないでしょうか。食業の自給率や戦後の食糧を自国で確保するために様々な手厚い規制があっています。これが結果的に効率の悪さを生んでいると思います。
農業の株式会社の参入は始まったばかりです。そして、まだまだ多くの規制があります。参入した企業に対して土地が与えられにくいのです。土地が無いわけではなく、解放されないのです。日本には土地は無いようですが、昔は農業地だったけれど、今は誰も手をつけていない。だけど農地だから他の活用が出来ない。そして、企業に渡されない。こんな土地がごろごろしています。
問題は、縦割りの組織にあります。既成の辛みが省のからみになって互いに利権を争い、一向に解放されないのです。うーん、いろいろありそうですが、今回の山西農園のような企業がどんどん参入してくれれば、もっと日本の農業はダイナミックになると思います。期待していますよ!
早嶋聡史