総合スーパー(GMS)の流通経路にネットが急速に取り入れられています。ネットで注文を受けた商品を宅配するサービスです。単身、共働き世帯、高齢者に人気です。
これまでGMSは上記のターゲットを小商圏型の食品スーパー(SM)やドラックストアに顧客を取られていましたが、近年はGMSの信用力とネットと宅配を組み合わせて巻き返しを図っています。
2000年にウォルマート系列の西友が先駆者となり始めたこのサービスは、約10年間で500億円程度の市場規模まで成長しています。この規模の拡大によって流通コストが引き下げられ、GMSがこれまで外部委託していた受注に関わる情報システムを内部化したことも好調になっている理由でしょう。
GMSは郊外型に展開していたため、渋滞を抜けて買い物に行き、大きな駐車場に車を停めて、大きな店内で買い物をする、という行動に苦痛を感じていいた消費者が多くいたのでしょう。このため食品や日用雑貨などは、小商圏を得意とするSMやドラックストアに顧客を取られていたのです。
それが近年のネットの利用によって、GMSはその弱点を補完しました。これに対して規模の経済で負けるSMやドラッグストアは太刀打ち出来ていない現状でしょう。
ネットでの購入は、実店舗の顧客が購入しているのでは?と思いましたが、ヨーカ堂もイオンもネットの売上がそのまま従来の売上に乗っている形だということで、丸丸売上を増やしているそうです。つまり、確実に小商圏型のSMやドラッグストアの売り上げを奪っていることになります。
ちなみに生協の売上(2010年3月期)も5期ぶりに減少に転じています。GMSのネット販売が影響しているのでしょう。先行する英国のテスコは全体の売上に占めるネットの割合は10%。現在、ヨーカ堂とイオンともに、売上比は1~2%程度。となるとイオンの売上が年間4.7兆、ヨーカ堂が1.6兆。ざっと計算して6000億円くらいの売上をGMSのネット販売に今後引っ張られる形になります。
SMやドラッグストアにとっては脅威ですね。この数字は、ドラッグストア1位のマツキヨの売上が3900億円である事を考えるとその影響の大きさが分かります。
早嶋聡史