前回まで
営業所長の松本さん,営業の西村君の訪問予定の中で,重要なターゲットであるA社の進捗状況と翌週の訪問予定を確認しました。一塁ベースは回った(担当者と良好な関係ができた)と判断した西村君は,次回の訪問で二塁ベースに向かう(A社の現状についてお尋ねをする)つもりだと報告しました。
それに関して松本さんは二つのアドバイスをしました,1)お尋ねをする前には,「質問に答えて頂けるかどうか」をストレートに確認した方がよい。2)初回の質問から,「現在の取引に関してご不満はないか」などと訊くのは無理がある,ということです。西村君はA社の吉田さんに電話して,お尋ねしてもよいかを確認して報告することにしました。
西村:松本さん,少しだけ時間をいただけますか,A社の件で報告があるのです。
所長:あの件ね,ちょっと待って,パソコン閉じるから。お待たせ,じゃあ聴こうか。
西村:吉田さんに確認しました,可能な範囲で教えて頂けるそうです。有り難うございま
す,これで自信を持って訪問できます。
所長:それは良かった,それを「パーミッション(許可)を得る」って言うんだよ,そう
やって実績を作って,次第にパーミッションのレベルを上げて行くのさ。
西村:そういう事なんですね,つまり,もう質問することは許される関係ができたという
ことなんですね。新規のお客様に営業をするときには意識して行うようにします。
所長:そうだね,きっと役に立つと思うよ。それにこのやり方にはもう一つ利点があるん
だ,一種のリトマス試験紙見たいなものと言えばいいかな。
西村:リトマス試験紙ですか???
所長:そうだよ,いきなり質問して断られたりすると気まずくなるだろう。そんなリスク
を冒さないで相手との間合いを測れるんだ,「進むべきか,進まざるべきか」だよ。
コーチングにしてはアドバイスが多いとお感じの方もいるかもしれませんね,でもそんなことはありません,社内で上司がコーチするシーンでは教えることも多いのです。仕事上で「良いコーチ」と言うのは,部下が成果を出すことを可能にするコーチのことです。