マーケティングは概念的な取り組みが多いです。例えばポジショニング。顧客の頭の中に商品のイメージを位置付ける作業を指します。商品のイメージと言っても、機能的なものから感情的なものまで様々です。企業としては、シンプルなイメージを顧客の頭の中に認識してもらいたいと思います。
会社の近くにお肉屋さんがあります。「仕事中にお肉を食べたい!」と思ったら、ランチ時間に向かいます。僕の中でそのお肉屋さんは、「お昼にお肉を食べる店」、として位置付けられています。もし、他の人と、「今日は何が食べたい?」なんて話をしていて、「お肉」という話題が出たら、そのお店に向かうでしょう。
今度のこの事を利用して、僕と同じようにお肉が食べたい方に、そのお店をイメージしてもらうために、一貫して「お肉のランチはうちの店!」なんて事を定着させる事ができたらどうでしょう。ランチに悩んでいる人は来ませんが、お肉という目的を持っている人はくる確率が高くなるでしょう。
さて、そのお肉のお店、昼のメニューは必ず4種類です。シンプルに、牛ステーキ、チキンソテー、ポークカツレツ、そしてハンバーグです。これも重要な事です。もし、そのお店が「お肉のランチはうちの店!」というメッセージを出しているにも関わらず、お肉以外のメニューを出していたらどうでしょう?当然、お肉の印象が薄れます。それどころか、お肉を食べたい人にとっては裏切りになるかもしれません。
ポジショニングを明確にしたいのならば、あれやこれやはいけないのです。ポジショニングに応じて、そのお店の商品や価格などがある程度きまります。勿論、お肉屋さんっぽい店構えにするのか?意外性を出した店構えにするのか?はポジショニングの一貫性と同時に、ターゲット顧客の事も考える必要があります。
ポジショニング。色々な例があります。
最も古いお店!なんてのは特質にフォーカスしています。
最も安全な車!なんてのは商品の特性にフォーカスしています。
ランニング専門のシューズ!なんてのは商品の使途にフォーカスしています。
プロ専門の鍋!なんてのはユーザーを限定する事にフォーカスしています。
競合企業をポジショニングに使う事もあります。アンコーラ。コーラじゃないよ!っていうことで炭酸飲料からコーラ以外の地位を獲得しようとした作戦です。
ゼロックスなどのようにカテゴリーに注目してポジショニングを行ったところもあります。
高い事によって、品質の良さにフォーカスさせる方法もあります。
ポイントは、商品のイメージをシンプルに顧客の頭の中に位置付けるために、その商品を一言で言い表せることができるのか?が大切です。そして、その一言が、商品に関係する全ての社員が共通のイメージを持ち、そしてお客さんまでもが共通のイメージを持つ。
こうなれば、その商品は顧客の頭の中に位置づけられ、その状況や環境になれば自然と買って頂けるというストーリーです。
早嶋聡史