ワークショップやコンサルティングをさせて頂いている時、マーケティングや経営で考えられる成功要因なんて、後付け理論に過ぎない!と発言される機会が多くあります。私も、どちらかというと後付け理論という点において賛成です。しかし、先付けか後付けかは別として、理論として整理している事が重要だと思います。
実際、多くの理論は帰納的な方法で個々の事象から事象間の本質的な関係をあれやこれやと推論して、一般的な原理をまとめています。そして、そのように一般的に原理を示すことで、今度は演繹的に一般的な原理からここの事象を導きます。
ややこしく書きましたね。例えば、ある事象において、なんとなく成功したとします。もし、そのなんとなくの要因が体系化できなかったり、何らかの因果を見出すことが出来なければ、なぜ成功したのかを付きとめる事が難しくなります。これは独りで全てを完結して、同じような事象を二度と行う必要が無ければさほど問題ないことです。
しかし、ビジネスの世界では違います。同じような事象を繰り返し高い確度で達成する事によって、効率的に効果的に成果を上げ続ける事ができます。また、成果を上げ続けるためには、組織で行う必要性がでてきます。独りで出来る事には限界があるからです。もし、何らかの事象において、なんとなく成功した事があったとしても、なんとなくのままでは成功のメカニズムを解析することができません。となれば当然、再び成功する事が博打になるかもしれません。また、他者に説明して行動して頂く事も難しくなるでしょう。
そのために理論を活用するという1つの選択肢があります。なんとなく成功した要因を、世の中であれやこれやと言われている理論に当てはめて、なぜ成功したのかを考えてみます。これがフレームワークかもしれません。勿論、様々なフレームワークがあるので、どのフレームに当てはめて考えるかは当人のセンスや知識が必要です。しかし、枠に当てはめて考える事で、物事を単純化して考える事ができます。勿論、ぴったりはまる枠が存在するとは思いません。その時は、足りない部分やはみ出た部分だけ例外として、自身のオリジナルの考えを付け加えると良いと思います。
すると意外に何故成功したのか?これまで漠然と思っていた事が、筋道が見えてくるかもしれません。筋道が見えると言う事は、また成功するためには、何をどのように行動すると良いのかが見えてきます。筋道が見えると言う事は、他者にお伝えする事も容易になると言う事です。
もし、該当するフレームが無くても、今度は単純化する中で、あるいは何故、成功したのだろう?と考える中で自信で理論化してみればいいかもしれません。理論化するというと難しいかもしれませんが、成功した理由を整理して、再現性を持たせる方法を考えるのです。
勿論全ての理論は仮説です。ただ、仮説を設定する中で、成功しても失敗しても、常に戻ってなぜ成功したのか?なぜ失敗したのか?途中途中戻りながら確かめる事ができます。いわゆる検証です。すると、次にもっと効率的に成功するためには?失敗した理由はなんだったの?などが見えてくるでしょう。
なんとなくのままだと振り返りもできませんし、それを活かす事も難しでしょう。そのために体系化する。理論化する。整理する。そのひとつの方法が世の中で言われている様々な経営理論かもしれません。要は、なんとなくの事象をシンプルに分解するためのツールなのでしょう。
早嶋聡史