フランクフルトからボンまで、ライン川沿いの車窓の風景です。
早嶋聡史
ボンに到着。ここの駅も案の定、改札がありません。聴いてみると、キリスト教の性善説の教えに基づくとか。ドイツの労働賃金は高いので、そうそう人を雇うよりも、改札をおかないで人件費を浮かしているのでは?というのが本当のところではないでしょうか。無銭乗車する金額のロスよりも、人を雇うコストの方が高い!と判断したという仮説です。
ボンは、ライン川の岸辺に開けたのどかな個人まりとした大学街です。ただここは、第二次世界大戦後から1999年までドイツ連邦共和国の首都として発展を遂げています。繁華街は、ボン中央駅から徒歩3分過ぎたところ、ポスト通りを進んだミュンスター広場を左に曲がった郵便局があるあたり。近くにはミュンスター寺院があります。こちらは11世紀頃からライン川にそびえたっていたそうです。ロマネスク様式の教会が街に溶け込んでいます。
ボンでは、クリスマスマーケットを少し見学した後、ボン大学に行って用事を済ませてきました。
ところでボンという街、聞き覚えが無くとも、かのベートーベンの街。がこの街で彼は生まれ、ウィン―ンで活動の場を移すまでの22年間を過ごしたそうです。どおりで街中にベートーベンの面影を示すサインや像が多い事。ベートーベンが生まれた家は、彼が使用した楽器や直筆の楽器や補聴器、家具などが展示されて、ボンの観光スポットにもなっています。
早嶋聡史
フランクフルトから電車でボンまで移動。
ドイツの電車は、切符を買ったら改札も無ければ、駅員さんが調べにもきません。無銭乗車をしても恐らく見つかる事は少ないと思います。しかし、たまに係の人が見回りに来て、その時チケットを持っていなかったらかなり高額の金額をペナルティとして請求されると聞きました。日常的な管理コストを固定的にもつよりも、無銭乗車で損なう金額の方が少ないのでしょうね。実に合理的な国です。なんでもかんでもガチガチに管理する日本とは対象的な印象を持ちました。
フランクフルトからマインツまで、街中を走りますが、マインツを超えたあたりからボンまでは、ずーっとライン川沿いに電車が進みます。ライン川はドイツの父なる川と言われ、源流は遠くスイスの山中だそうです。フランスとドイツの国境を流れ、オランダのロッテルダムで北海へ流れます。全長は1320km。これぞ、まさに国際河川。なかでもドイツは約700km近くを流れ、途中、点在する葡萄畑と古城が作り出す美しい風景の一部として溶け込んでいます。
途中、ハイネの詩にズィルヒャーが曲をつけたローレライの歌が生まれたローレライの岸壁を右手に見る事が出来ました。ローレライは妖精の岩という意味を持ち、言い伝えでは、ここを旅して来た船人が美しい黄金色の髪の乙女に魅せられて舵を取り損ね、命を落とすとか。確かに急激な弧を描くような流れがローレライの岸壁に沿って有りました。結構な船が行き来していますが、舵取りが難しいだろうなぁと思いました。ただ、ローレライの岸壁と言われても、「へっ?」て感じで、なんてことないタダの岩って感じです。
ローレライ以外にもライン川の対岸両岸には雄大な葡萄畑や古城が点在して、ずーっと眺めていても飽きる事はありませんでした。
早嶋聡史