海外で勢いを見せているヤクルト。地域によって売り方を変えています。フィリピンでは、ヤクルトレディが住宅地に住む人々と親しげに会話を交わしながらバラ売りが中心。1本、2本と歩きながら売っています。一方、香港ではスーパーやコンビニなどの店頭販売が主です。また、変わったところでは、バーやカジノなどではカクテルとして販売されています。
ターゲットに即した販売方法で、途上国ではまとめて買う事が出来ないので、ばら売りを取っているのです。ヤクルトはその容量も地域に合わせて柔軟に変えています。例えば、日本では65ml、フィリピン80ml、香港100mlといった具合です。確かに、香港の飲食店で出てくる量はどれもこれも大盛り感覚なので、65mlのヤクルトは「すくなっ!」という印象を与えるからでしょう。
ターゲットによって販売方法を変えている商品にオムツがあります。東南アジアなどの途上国では紙オムツは1枚売りが基本です。日本やアメリカではまとめ買いの対象になる商品ですが、途上国では勝手が違います。オムツと言ったら、まだまだ布が主流の途上国では、出かける際に紙オムツを使うなど、用途が限られています。そのため、大量に購入する理由は無いので1枚づつのばら売りが主流になるのです。もっとも、紙オムツと言っても、途上国では高価な品物になるために、大量に購入することが出来ないという理由もあると思います。
これは、シャンプーやリンスー、化粧水等も同じ発想です。花王さんで仕事をさせて頂いていた時、お話を伺った事があります。日本や欧米ではボトルや瓶による販売が基本ですが、東南アジアを中心とした途上国では1回毎に小分けされたものが売れ筋が良いそうです。こちらも使用用途が限定された特別なモノであったり、経済的な理由が考えられます。
この傾向、近年の日本でも見られませんか?例えば、花王さんのバブ。コンビニではバラウリされているのを良く見かけるようになりました。初めは、旅行用や出張用など、偶々の利用だと思っていました。しかし、その傾向は住宅地などでのコンビニでも見かけるようになりました。
となると、大量消費して・・・という感覚から、使う分だけという文化が根付いたのか?はたまた、経済的に苦しくなったのか?前者であれば精神的にうれしい話ですが、きっと後者の傾向が強いのではないでしょうか?日本は突出して高い経済力を持っていたが、今後は、世界平均になっていく。つまり、これまでが良すぎたのだ!という結果になりつつあるのではないでしょうか?
早嶋聡史