「二兎を追う者、一兎も得ず」
この格言を残した方はマーケターですね!成長のために必要な事は拡大ではなく、売上より利益を残す、ブランドの拡大ではなくブランドの縮小を目指す、に通じるものがあるからです。
例えばノキアとモトローラは正反対の道をたどりました。ノキアは世界一の携帯電話メーカーになる以前は、ゴム靴やタイヤ製造、ケーブルや電子機器の製造、通信会社やカラーテレビなどの会社を積極的にM&Aして拡大路線を広げていました。しかし1990年代に方針を180度転換して携帯電話事業意外の一切のビジネスを売却して縮小路線をとりました。一兎を負う態勢を構築したのです。
モトローラは自動車用ラジオメーカーとしてスタートします。その後様々な分野に進出します。ポケベル、半導体、家庭用通信端末、ケーブルモデム。自動車用電子部品、通信機器などです。モトローラは何を隠そう携帯電話においてはファーストムーバーです。世界に先駆けて一般向けの携帯端末を世の中に売り出しました。しかし事業としては一兎に絞ることをせず、沢山の兎を追いかけたのです。
1995年、モトローラは自らを次のように表現しています、「無線通信と半導体のほか、先進の電子システム、電子部品、電子サービスの世界一の供給者。各種機器の事業では、携帯電話端末、双方向ラジオ、ポケットベル、データ通信、パーソナル通信、自動車用・防衛用・宇宙用電子機器・コンピューターなどを手掛ける」と。
この活動は2000年頃まで続き、積極的にM&Aで兎を追いかけます。結局スリム化を図ったのは2004年からで、次々と事業を整理しました。携帯電話の事業を分社化したのは首位をノキアに取られて実に20年近くたってからです。
これが経営の数字にどのようなインパクトを与えたか?
■過去10年の売上
ノキア:3701億ドル
モトローラ:3293億ドル
■過去10年の純利益と利益率
ノキア:440億ドル 11.9%
モトローラ:54億ドル 1.66%
会社の成功は売上よりもどれだけ稼いだかで見たら、上記の差は歴然ですね。ノキアとモトローラ。一兎を追うか、複数の兎を追うか。ブランドを縮小するか、ブランドを拡大するか。
マーケターの発想は一兎の兎です。
早嶋 聡史(はやしま さとし)
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