アドバイスの極意
徒然草、第百九段に「高名の木登り」というのがあります、大切な教えが含まれています。弟子が木に登るときに、下で見ていた高名な木登りが木の下でその様子を見ていました。弟子が木の高い所にいる時には何も言わなかったのに、地面近くまで降りた時に、“過ちすな、心して降りよ(気をつけなさい)”と声をかけるくだりが有名です。
部下を指導するときに、どのようにアドバイスするのがいいかと考えたことはありませんか、難しい仕事に真剣に取り組んでいる姿を見ると、つい声をかけたくもなりますねよ。
しかしアドバイスもタイミングを誤ると、「いらないお世話」どころか失敗のもとにもなりかねません。部下は上司に言われた通りにすることに気を取られて、自分のリズムを崩してしまうこともあります。
階段で足を踏む外すことがありますが、たいていの人はあと数段の処で踏み外すことが多いようです。高い階段の上から滑り落ちることはあまり見たことがありません。仕事も同じです、難しい処を切り抜けてほっとした時につまらないミスをしてしまうこともよくあります、そんな頃合いを見計らってタイミングよくアドバイスできるといいですね。
そのためには部下をよく観察していなければなりません、仕事の進み具合、集中の度合い、部下の力量と習熟の度合い、そして自信と慣れの微妙な加減などです。一挙手一投足に目を配り、しかし無用のところでは声を掛けたい衝動を抑える、アドバイスする上司も楽ではありません。もう大丈夫と目を離した途端に失敗する時など、目を覆いたくなります。
アドバイスはどんな時にするか、もう一つは「相手が望む時に」「相手が望むことに関して」アドバイスするという考え方もあります。何か一つ聞くと「あれもこれも」とばかりに押し付けられると、部下としては二度とその上司に助言を求めたくなくなります。そして決して自分の考えを押し付けないことです、アドバイスするということと、それを押し付けることとはまったく別ものだと心得ましょう。
良いコーチはよいアドバイザーでもあります。
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