「再現性」を定義すると、“もう一度やろうとした時に、期待通りにできるか”ということです。経営者や管理者の方々から耳にするセリフに、“こいつは何度言っても分からない”、“何度教えてもできない”、“何度教えても同じ失敗をする”というのがあります。
これは部下に「再現性」が身についていないことを表しています、指導・育成する上で大切なことは、部下が“自分でできるようになる”こと、つまり何度も教えなくても自分で判断して適切な行動をとれるようになることです。その為には、物事の全体像を理解することが必要です、個々にやるべきことを教えたのでは、この全体像は見えてきません。
カーナビ上司という言葉があります、何から何まで指導する上司です。上司がカーナビである限り、部下がこの能力を身につけることは難しいと言えます。カーナビに頼る人は、カーナビがなければどこへも行けない、もちろん毎日通う通勤路は覚えるでしょう。問題は時々起きることです、そのたびに上司に「どうすればいいですか?」と聞かなければ自信が持てません。
先月からイギリスを視察しましたが、約2週間弱は全てレンタカーで移動しました。もちろんカーナビは付いていません、一枚の全国地図だけを頼りにエジンバラからロンドンまで9都市と他に小さな街々を巡りました、知っている街も知らない街もありました。
はじめての街でホテルを探す時や、小さな町を探す時など、何度か道に迷うことはありましたし、そのために時間がかかることもありました。しかし、もし同じ場所にもう一度行くとすればどうでしょうか、もう迷う心配は全くありません。今回迷ったことで十分に考え、その過程で「再現性」を身につけたからです、時間が掛かることもありません。
仕事も同じです、その時の時間を節約するために答えを教えることは、部下が考える機会を奪ってしまいます。その結果として、考えることをしなくなり、“何度言っても・・・”に繋がります。それが長い時間の中では、たくさんの時間を損なうことになるのです。
迷って考える過程で成長する、教えたい気持ちを少し我慢してみませんか。
長田