早嶋です。
今日は成人の日、平成生まれの方々が式の対象者、早いものですね。
さて、何かすっきりしたいとき、妙に喉を潤したいとき、躊躇いなくコーラを飲みます。青い方ではなく、赤いほうです。1975年、ウォータゲート事件が米国を騒がせていた当時、ペプシ・チャレンジという大規模な実験が行われました。
数百人のペプシ担当者が世界中のモールやスーパーマーケットに会場を作り、立ち止まった子供たちや大人に対して無地のコップを2つ渡します。片方がペプシ、片方がコカ・コーラ。飲み干した人に、どちらが美味しかったかを尋ねます。
この実験を通じて、ボランティアの半数以上がコーラよりもペプシの方がおいしいと答えたのです。ということは、ペプシがコカ・コーラの牙城を崩すときがくる!ペプシ経営陣は期待しましたが、実現しませんでした。
なぜなのか?
30年近くたって、この問いに新しい見解がされました。実験はヒューストンにあるベイラー医科大学のヒューマン・ニューロイメージング研究所で行われました。fMRIを使い67人の被験者の脳を測定してペプシ・チャレンジを行ったのです。
結果は、1975年と同じ。被験者の半数以上がペプシがおいしいと判断しました。脳の測定からも半数以上がペプシが美味しいと判断していることが分りました。ペプシを試飲しているときのほうが、おいしいという刺激を感じた時に反応する脳の腹側被殻という領域が活性化したのです。
この実験には続きがあり、それが長年の謎を解明する手がかりになります。ペプシ・チャレンジと同様の実験を行います。しかし、被験者がペプシとコーラを飲んでいる時に、どちらを飲んでいるのかを被験者に伝えるのです。すると、被験者の75%がコーラを支持したのです。このとき、脳の活性化する領域が変化したそうです。
美味しい時に活性化される腹側被殻に加えて、内側前頭前皮質への血流増加が確認されたのです。この領域は、高度な思考や認識をつかさどる領域と考えられています。
つまり、ペプシが美味しい!という味覚に対して、コーラとペプシの感情が打ち勝ってコーラを美味しいと判断していたのです。コーラの歴史やロゴ、宣伝文句やブランドイメージ。様々コカ・コーラの要素がペプシを美味しいとする本来の理性を打ち勝つ要素となっていたのです。
まさに、脳は感情でものの価値を判断しているのです。30年前に行われたペプシ・チャレンジ。ペプシとコカ・コーラの戦いは、感情を支配しているコカ・コーラに軍配が上がっているためにペプシが勝つことがなかったというわけです。