早嶋です。
マーケティングミックス(MM)。企業がマーケティングを考えるときに中心に取り入れる概念であり、多くのビジネススクールでMMの概念をマーケティングの軸として教えています。
MMは文字通り様々なマーケティング手法や施策を組み合わせで、売上や販売量、市場シェア拡大、あるいはマーケット認知等を目指すものです。その意味でMMはマーケターが業務を遂行するためのツールで大きく4つの要素で構成されます。
1)商品または、商品政策(商品に関わる意思決定)
2)プライシング(お金に関わる意思決定)
3)プロモーション(コミュニケーションに関わる意思決定)
4)流通(流通に関わる意思決定)
MMの概念を用いれば、マーケティング施策のあらゆる要素をシンプルではありますが、体系的に捉えることができます。市場セグメントをどのように考え、MMをどのように構成するか?例えば、サントリーの黒烏龍茶を考えて見ましょう。
●対称セグメント
サントリーの黒烏龍茶は、「食べたいんだけど、やせたい!」または、「これ以上太りたくない!だけど脂ものは好き!」という人々をセグメントしています。
●商品
烏龍茶のブランドイメージと、長年のウーロン茶で培った技術力で脂肪吸収を抑えた効果を提供します。食べても、脂肪として付きにくい!
●価格
食事中に毎日飲める手ごろな価格。しかし、効果を示すために、ちょっとだけ高い。
●プロモーション
サントリーの営業力を生かしてマスの広告を通して大規模に展開。中華やから揚げを食べている人のイメージを流しながら黒烏龍茶の効果やイメージを提供。
●流通
従来のサントリーの流通に加えて、飲食店等に積極的に展開。
このように、MMを使って自社のマーケティング戦略の概要をまとめれば、多くの場合何かしらの恩恵にあずかられることでしょう。
MMはいくつもの要素の整合性や相互の係わり合いの強さなどが重視されます。サントリーの黒烏龍茶のCMに出ている人が、スリムで筋肉質な人では、同製品のセグメントをイメージすることは出来ません。この場合、整合性があっていないことになります。
このように、MMを構築する際に、構成要素同士の関連性は非常に重要です。そして、その方法は3つの段階に分かれます。つまり、1)不整合の解消、2)要素間の調和、3)相乗効果の実現です。
1)不整合の解消
先ほどの黒烏龍茶の例のように、マーケティングの効果を高めるためには、MMの不整合を解消する必要があります。例えば、高品質のイメージを提供している商品をディスカウントストアで販売しよう!という考えは得策ではないことは、用意に理解できることです。
また、一見不整合に見える方法を敢えて取った場合には、その理由を消費者に納得していただくように好意的な反応を引き出す必要があります。ただ、不整合のままのMMは、実際には効果を得る確率は少ないでしょう。
2)要素間の調和
不整合の解消に加えて、MMを構成する各要素間の調和も必要です。高級品の時計のプロモーションとして、可処分所得が高い購買層が読む雑誌に大々的に広告を行うことはしっくりきますよね。
高級自動車やマンション販売なども上記と同じようなプロモーションを行っていますね。もっとも価格が高いからといって上記のプロモーションが効果的であるということではなく、要素間の調和が取れているか?ということが重要だということですが。
3)相乗効果の実現
MMをダイナミックなものにするためにも、それぞれの要素がシナジーを産むことが大切です。例えば、広告量の投入とその効果には、セールス・レスポンス・カーブという曲線を描くことが言われています。広告支出が少なければ、広告効果は少ないです。しかし、ある一定量の広告量を投入した場合、それ以上の広告の反応はのぞめ無くなる場合があるのです。
この場合、過度に広告を投入するよりも、他のMMの要素に資金を投入したほうがより相乗効果を実現することが出来るのです。