早嶋です。
今月のハーバート・ビジネス・レビューに7つの危ない戦略という掲題で論文が紹介されていました。内容は、企業が失敗する理由を7つの危ない戦略とタイトルをつけ、7つ示し、その内容を説明したものです。
多くのビジネス論文が示すとおり、企業の失敗は戦略の実行段階に問題があったからではなく、戦略そのものの誤りが多いとジャーナリストのポール・B・キャロルは指摘します。筆者は過去25年にわたる決定的な失敗事例、750件を調査しHBRに寄稿しています。
その7つの危ない戦略とは、次の戦略です。
1)シナジー幻想を抱く
2)金融工学に頼る
3)方向転換しないという過ちを犯す
4)似て非なる隣接事業に参入する
5)追及すべき技術の選択を誤る
6)安易な合弁に走る
7)ほぼ全てを参加に収める
です。
1)シナジー幻想を抱く
シナジー。日本語では相乗効果と訳され、経営では2社以上が協力体制を持つことで足し算以上の効果を出すときに使われます。
互いに補完関係になる2社が手を組み、成長を追及する事例はよくあります。しかし、必ずしもその効果を期待できないことから失敗するという指摘です。実際にシナジー効果が発揮できる環境であっても両社が油断しても失敗します。
また、シナジー効果は見えないところでも問題を起こします。経営陣の時間やエネルギーをシナジー追及に求めすぎた結果、有益な機会をロスする機会コストの発生です。
2)金融工学に頼る
強気の金融工学に頼った挙句、ブランド評価が損なわれたり、企業そのものがなくなる事例です。これはまさに近年のサブプライム問題そのものですね。
筆者は、金融工学に頼る戦略の危険性を2つ指摘しています。1つは、金融高額は安易に融資された住宅ローンのように、顧客を短期的に引き付けるものの、最終的には買い手と売り手の両方に大きなリスクをもたらす商品が開発されることです。そして、残りは、更なる資金調達を行うために、どうしても楽観的な借入を推奨することにつながることです。
金融工学に頼る戦略は、強引な手法であるところが多く、一度手を染めると中々抜け出すことができないという習慣的な問題も指摘されていました。
明日に続く。