早嶋です。
本日は、初代内閣安全保障室長である佐々淳行氏の講演会に参加してきました。講演のタイトルは「国際化時代の危機管理」です。
キー・メッセージは、コンプライアンスに対応するためにも、経営者は「企業に対して良からぬ情報こそ、迅速にトップにあがる仕組みを構築すること」でした。コンプライアンスの対応の不備の原因の多くは、組織に何か変化が起こった時に、そのことをトップが知らないことにある、と話されていました。
この原因は、良からぬ情報を提供した部下がいたときに、その人を褒めずに叱ることです。例えば悪さをした子供にその理由を聞いて、再び怒ったとします。すると、その子供は二度と何か事を起こした時に親に報告をすることを怠るでしょう。これは企業の組織でも同じです。勇気を出して報告したにも関わらず、その件で部下を叱咤したのでは、伝わるはずの情報も伝わらなくなります。
「悪い情報を迅速に報告した部下を褒め、悪い情報を報告しない部下を罰せる必要がある」、これはッティラ王の言葉で、「究極のリーダーシップ」に記されています。また、ナポレオンも言葉を残しています。「良い報告は翌朝に、悪い報告は即刻起こせ」と。
悪い出来事に対してはトップがその事実をいち早く知ることです。それは、対処するためにリードタイムを稼ぐことができるからです。しかし、中には悪い情報を伝えたら怒られるという組織風土が万延して、情報が伝達されないままになるのです。もちろん、これは経営者に責任がありますね。
話の中で、コンプライアンスの在り方について後藤田五訓を話されていました。
1:省益を忘れ、国益を想え
2:悪い本当の事実を報告せよ
3:勇気を以て意見具申せよ
4:自分の仕事でないと言う勿れ
5:決定が下ったら従い、命令は実行せよ
この後藤田五訓は、当時中曽根内閣の官房長官であった後藤田氏が、創設された内閣官房6室制度発足の場で、部下である内閣内政審議室、内閣外政審議室、内閣安全保障室、内閣広報官室、内閣情報調査室の各室長等に対して与えた訓示の内容です。
しかし、組織のトップに立つ身としてはどのような状況においてでも当てはまると佐々氏は解説します。
1:省益を忘れ、国益を想え
常に組織として部分最適で物事を考えるのではなく、全体最適で物事を考える重要性です。そのためにも縦の組織に横穴をあけることが経営者の大切な役目になります。
2:悪い本当の事実を報告せよ
先に述べた内容です。
3:勇気を以て意見具申せよ
経営者は全てを把握しているわけではありません。従って緊急を要する時こそ部下が意見具申できるように日ごろから関係構築をする必要があります。部下が、「私が社長の立場だったら、具体的に~します。」と行動につながる意見具申をしてもらうのです。そして、その内容が採用する場合は、その部下を最後まで連れて行けと。
4:自分の仕事でないと言う勿れ
まさに危機的な状況に社長に報告するのは俺ではない!というようなことを部下がたらいまわしにしていればそれこそリードタイムが短縮されるだけです。日ごろから、部下との関係構築を行い、私がします!と進んで仕事を引き受ける組織風土を作る必要が大切です。
5:決定が下ったら従い、命令は実行せよ
特に危機的な状況においては決定事項には組織を従わせる必要があります。もし、反対するものがいたら、その場合は組織から外す決断が重要です。腐ったリンゴは箱から出せ。反対者がいたらそれだけで組織の士気が低下しコントロールが利かなくなるのです。そして、決定事項は経営者が必ず命令という形で素早く出すこと。特に佐々氏は強調していました。決定事項は組織が行動に移すと考えていたのでは甘い。必ず命令を下さなければ組織は行動に移さないからです。
明日に続く・・・