早嶋です。
市場を科学的に分析したりアプローチするときの強力なツールにセグメンテーションという概念があります。このセグメンテーションとは顧客を単一の集団と捕らえるのではなくニーズの違いや自社にとっての顧客の意味合いや重みなど、様々な視点から顧客を細かく分類して、その分類した顧客集団ごとに戦略を立てていくことです。
今回は、法人向け事業のセグメンテーションについてコメントします。消費者向けのセグメンテーションに関しては、セグメンテーション(①、②、③)を参照下さい。
セグメンテーションにおいて消費者相手のビジネスと法人相手のビジネスではその手法が異なります。消費者相手のビジネスでは顧客を人口特性要因である性別、年齢、家族構成、職業、所得や地理的要因である住居地、気候など個人消費者の属性が重要になります。
一方で法人相手のビジネスでは組織ごとの行動特性であったり、組織ごとのニーズの違いであったり、価格に対する感度などがセグメンテーションの切り口になります。セグメンテーションを2軸で切り分ける場合、例えば縦軸には組織の行動特性として、顧客企業の意思決定の仕方(ブログ「買い手の連鎖」を参照)や交渉力の度合い、価格反応度、接触頻度やトップセールスの重要性なのどのインタフェースの重要度などが相当します。そして横軸には組織の要求するニーズの重要性や洗練度で分類します。
法人相手のビジネスでは、多くの情報は定量的に評価したデータが存在するわけでもなく、比較的容易に入手することは困難です。したがって、実際にセグメンテーションを行う場合は、このような評価項目を代替するような切り口を考えて代替指標として取り入れるのが一般的です。
例えば、意思決定の複雑さは事業規模が大きくなればなるほど複雑になるので、意思決定のプロセスが不確定な場合は事業規模によって代替することができます。価格の反応度に対しても、例えば高級商品を扱う組織と汎用商品や低価格商品を扱う場合では違うことが予測できます。したがって、その部材や材料に対するニーズの洗練度合いも異なってくると考えられます。
法人相手のビジネスをセグメンテーションする場合は、多くの場合、代替指標を用いますが、ポイントは代替データであっても客観データであること、比較的に収集するコストが低いこと、などが重要です。横河電機でIAビジネスのセグメント分けを行っているときも多くの場合は代替データを用いてセグメント分けをしていましたが、客観性と入手コストは特に意識していました。