早嶋です。
地方でパン屋を経営している経営者と仕事をしています。もともとはB2B用にパンを製造して卸していたのですが、10年くらい前より路面店を1点構えて以来、10年以上、常に右肩上がり。立地はとても便利がよいとはいえない郊外、そもそも工場としてはじめた敷地の隣に店舗を構えたのがその理由です。
しかし70台程度停められる駐車場は常に満車。さて、このパン屋さんのマーケティングの秘訣は何なのでしょうか?社長さんと話しながら、社長が目指す理念や熱意がやはり重要であることを改めて感じました。
社長曰く、「口コミ」。口コミで人が人を呼んでくれて近郊の人や5年くらい前からは他県からも来店者が来るようになった、と。でも、何故、口コミがそこまで広がるのでしょう?
社長さんと話しをしている中で見えた事は、社長の理念でした。社長さんは、もともとその地元で生まれ育ち、その地域をこよなく愛しています。そして、パンを通して、地域が活性化していく姿を常に意識していました。
パンを囲んで楽しい食卓、家族団らんを提供することをモットーに、パンを通じて地域のために成ればいい。この想いを実現するためにひたすらパンを作ってきた。そして徐々に規模が大きくなるにつれ、とにかくこの想いを理解してくれる従業員を増やしていく。能力は後からでもつくけれど、想いが違う人は結局、一緒に働く事は難しい。無意識のうちか意識的か、人材を採用する時点の判断基準が明確でした。
この人材登用術、なにやら松下幸之助さんを思い出します。言わずと知れた人事の天才、何かプロジェクトを行う場合は必ず3人の候補者をピックアップして話を聴きます。そしてその中から最も松下さんの感覚に近い発想をする方を呼んで、「あんたしかおらへん」と任せていったそうです。
パン屋の社長さんも、基本的に仕事に対しては現場の権限委譲がはっきりしています。やりたいプロジェクトに対してはどんどんさせています。とにかく社長としては口を出さない。では、何をしているのか?それは、とにかく褒めることを行っていました。そして褒める時は必ずチームで。従業員のモチベーションを上げること、これは立派な社長の仕事、そして組織を活かすも殺すも社長の仕事できまるのです。
こうしてパン屋さんに人が集まる風土が長い時間をかけて形成されているのでしょう。社長さんの想いを実現するために長い年月をかけて作り上げた組織風土。これは、バーニーのケイパビリティがその企業の成功要因であることを考えさせられました。