早嶋です。
テレビCMに代表される企業の広告は以前の広告効果と比較して低迷しています。しかし一方では依然として企業から必要とされているのも事実です。
15秒から30秒のスポット広告に代表される番組と番組の隙間を埋めるテレビCMはインタースティシャル広告と呼ばれます。昨今の消費者は広告を拒絶したり飛ばしたり、チャネルを頻繁に切り返しながら視聴する、いわゆるザッピング的な見かたをしたり、ハードディスクでCMそのものを省略して録画しているため、隙間を埋める広告は効果が薄れています。
そこで近年のマーケティングでは、テレビの隙間を狙うのではなく、消費者の日常の生活の隙間を狙った広告手法に焦点が当たりつつあります。そして、これらのコンセプトはより隙間をついたという意味で、ビビスティシャル(vivistitial:日常生活の隙間)と呼ばれます。
例えば、ビジネスホテルのエレベーターの中でCMが流されているのを見た事は無いでしょうか?ビジネスホテルを利用するターゲット層と同じターゲットを持つ別の商品のCMをエレベーターの中で繰り返し流しています。通常、エレベーターの中はすることが無く、なぜか沈黙を守らなければ成らないため、エレベーターの中のモニターには自然と目が届きCMを見てしまう方が多いのではないでしょうか?
当にビビスティシャル広告の特徴を備えた事例ですね。実際、テレビCMよりエレベーターでのCMは広告想起率で言えばテレビCMの2倍から4倍の効果があるとの調査結果があります。
ビビスティシャル広告の基本原則は、上記のエレベーターでのCMの事例から次のようなことが言えるでしょう。
①消費者の一日の活動のうち、あまり情報提供をされていない時間を狙い、そこに情報提供を行う。②消費者に嫌悪感を与えることなく情報提供を行う。③消費者の行動を妨げたり中断させたりしない。④礼儀をわきまえている。
グーグルの検索エンジンを利用した広告モデルはビビスティシャル広告の格好の事例です。テレビCMのように嫌悪感を与えることも無ければ、目的を中断させることもありません。
ところで、ビビスティシャル広告のシーンを1つ考えました。トイレです。特に男性の小のタイミングでエレベーター同様に壁にモニターを設置して情報提供するのはいかがでしょうか?但し、トイレのイメージが重なってブランドを壊す内容であればNGでしょうが。他にも電車の中のモニターCMなども相当するでしょう。
マーケターとして、消費者の日常の隙間を見つけて情報提供を行う。古くて新しいマーケティング手段だと思います。