早嶋です。
B2BやB2Cのビジネスにおいてしばしば、顧客が単一ではないことがあります。例えば、購入する人と利用する人が違う場合や、購入の意思決定に影響を与える人と実際に購入する人が違う場合です。しかし、マーケティングを行う場合、あたかも買い手を一塊のように考えている場合が多いと思います。
このように商品の購入に関して、実際の購買者以外に様々な直接的、間接的関与者が存在します。こうした直接・間接的に購買の意思決定に影響を与えることを、買い手の連鎖と読んだり、チェーン・オブ・バイヤーズと呼びます。
マーケティングの効果を更にあげるために、買い手の連鎖を注意深く見ていくことは物凄く意義があることだと思います。例えば、早嶋は買い手を4つのグループに分けて考えます。購買者、利用者、影響者、意思決定者です。
購買者は、その商品を直接購入する人です。利用者は、その商品を実際に使用する人です。影響者は、購買の意思決定や利用者に絶大な影響を与える人です。通常、影響者は更に内部と外部に分けます。購買活動に影響を与える人が内部関係者とは限らないからです。そして、最後に意思決定者、実際に購買することを決める人です。
上記の4つのグループは、1人で4役こなす場合もあれば、2人で4役をこなす場合もあれば、複数人が4役をこなす場合もあるでしょう。B2Cは比較的複数の役割を少数の人数で行っていることが多いでしょう。一方、B2Bでは、それぞれの役割を複数で行っているため買い手の連鎖は複雑になるでしょう。
ネスレは買い手の連鎖を分析してペットフードの売上を劇的に上げることに成功しています。通常ペットフードの購買者の多くは主婦層でした。ペットフードですので利用者は犬や猫です。90年代、それまでは利用者でアル猫のための栄養バランスや味の追求を行い、他の競合と競っていました。しかし、ネスレは日本のマーケットにおいてペットフードの缶のサイズを半部にすることによって劇的に売上を伸ばしました。
その背景は次の通りです。当時のキャットフードは185gが主流でした。しかし、このサイズは猫にとって少し多く、多くの場合、食べ残しがありました。これに対して、購買者である主婦層はもったいない!とネガティブな印象を抱いていたのです。この点に着目してネスレはいち早く90gの食べきりサイズを市場に提供したのです。
これまでペットフード業界は利用者である犬、猫の価値で競っていましたが、ネスレは購買者である主婦層のニーズを詳細に調べて他社との差別化を図ったのです。当に、買い手の連鎖を詳細にマーケティングしたネスレの成果でした。
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