早嶋です。
先週の土曜に引き続き、本日はりそな花小金井研修センター(りそな銀行の東京の研修施設)で1-DAY-MBAの経営戦略編でした。参加者の皆様、お疲れ様でした!
マーケティング戦略の中でSTPという概念があります。S:セグメンテーション、T:ターゲティング、P:ポジショニングです。このなかでセグメンテーションとは、定義した市場を細分化していく活動を指します。企業が提供する製品やサービスを訴求しやすい顧客郡を特定することで、マーケティング活動をより円滑に行えるメリットがあります。
セグメンテーションを行う際、製品の種類や価格ライン、個人顧客や法人顧客など顧客の規模、人口統計的な属性や心理的な属性によって細分化していくことが主流です。しかし、近年の論文では、このような分類化や細分化の枠組みではイノベーションを生み出すことが難しい!といった論調があります。その理由は、セグメンテーションの分類の軸が製品や顧客の属性にフォーカスされていることにある、という見解です。
属性ベースの区分に基づく理論は、属性と購買行動の結果との相関関係を明らかにすることはできます。しかし、製品にどのような特徴や機能を付加して、どのようなポジショニングを取れば顧客がもっと買いたくなるのか?などを示すには情報が不足しています。これらを明確に検証するには、状況ベースでの細分化手法を取る必要があるのです。
このような見解は細分化が無効な手段であるとしているのではなく、細分化するときの手法に工夫を加えると更にマーケティング活動を円滑にすることができることを示唆しています。
では、状況ベースでの細分化とはどのような事を行うのか?気になるところですよね。これは、例えば顧客が製品やサービスを利用する際にどのような状況にあるのかを理解していくことから始まります。顧客が何か製品やサービスを利用するときには、顧客の中で何か解決したい「困ったこと」が発生します。そして、その「困ったこと」を解決するために解決策である製品やサービスを探し求めるのです。
そこで彼/彼女らの思考プロセスの中で先ずどのような選択肢があるのか?どのような手段で解決したいと考えているのか?などの顧客の状況を機能的な面や感情的な面で捉えていくことが状況ベースの分析に相当します。
顧客が解決したいと考えている「困ったこと」を理解し、その「困ったこと」を解決する状況に応じて市場が構成されていると仮説を立てるのです。つまり、従来から行われてきたセグメンテーションのように製品のターゲットそのものの分類ではなく、顧客が置かれている状況によって分類を行う、という考え方を追加することによって更に有用なセグメンテーションが行えるのです。
ポイントとなる分析の単位は、顧客ではなくその顧客が「困っている」状況なのです。