早嶋です。
マーケティングの大御所、フィリッピ・コトラー教授は、マーケティングで重要なことは、マーケットリサーチ(R)、セグメンテーション(S:市場分け)、ターゲティング(T:的の設定)、ポジショニング(P:自らの位置付け)、マーケティング・ミックス(MM:商品、価格、流通経路、プロモーションの決定)としています。
特にSTPのフェーズは、マーケティングの中でも最もダイナミックで最も楽しい瞬間でもあります。リサーチ(R)の結果をもとに市場セグメント(S)を特定し、自社の強みを発揮でいる市場セグメントを決定(P)し、その市場セグメントにおいて、自社の位置つけを明確にする(P)。まさに、科学的なアプローチです。
では、なぜ市場セグメントを分ける作業を行うのか?この理由の1つとして、社会科学者が提唱する『世間は狭い』現象があります。これは、Six degree of separation(6段階の分離)と呼ばれ、たったの6人を介すれば、この地球上の全ての人々に到達できる、という概念です。この場合の6という数字には余り意味が無く、「限られた数」の人を介することで、どんな人にもたどりつけることが実験によって示されています。
最近、自転車を購入した体験から、自転車の興味は、自分の中でかなり高くなっています。そのため、通りの自転車に注意がいったり、自転車に乗っている人と話す機会が多くなりました。まさに、「人は自分と似ている人々と結びつく」というバズに影響及ぼす社会ネットワークの10の原則の1つが当てはまります。そのため、「お互い似ている人々はクラスターを作っている」ため、有効な市場セグメントを特定できれば、効率的なマーケティンが可能になるのです。
上記については、次の実験でも示されています。ミュージックショップで行われた実験です。CDを買おうとレジに並んだ顧客に対して、販売員にそのCDに関する自分の感想を伝えさせます。ただし、その内の半分は、購入しようとしているタイプの音楽を聴いたことが無いと話させ、残り半分は同じCDを持ち、良く聴いていると話させます。更に、CDプレーヤーのクリーニングキットを購入しないかと尋ねさせるのです。それぞれ60人のサンプルに対して、音楽を聴いたことが無いと話した顧客のうちクリーニングキットを購入したのは20人でした。一方、音楽を聴いている店員から進められた顧客は33人がクリーニングキットを購入しました。
まさに「人は自分と似ている人々と結びつく」のです。人は、お互い似ている人々とクラスターを作る傾向があり、自社の従業員が顧客に類似しているほど、両者のコミュニケーションは容易になるのです。