早嶋です。
経営戦略について2000字×4回セットでとある媒体に投稿することになりました。ドラフトであらい内容ですがブログで先行して公開します。OLと講師の掛け合いを想定して書きました。フィードバックをいただければ、実際の原稿の修正に活用します!
OL
「戦略」という言葉を聞くと、ついつい戦争をイメージするのですが、そもそも企業における戦略って何ですか?
講師
直感で戦争を意味するのは意味正しいですよ。戦略はもともと軍事用語で、「大局的にモノゴトを捉えて敵を打ち負かす方法」という意味を持っていますから。普段の仕事の中で戦略という言葉は聞きなれないですよね。良い機会ですので、企業経営に置き換えて考えたら、軍事用語で言う戦略はどのようになると思いますか?
OL
うーん、大局的に・・・。つまり企業全体を良く見て、競合と戦うことですか?
講師
そうですね。ただ、企業経営は競合を意識する事も大切ですが、あくまで会社の進むべき道を明確にした上で何をするのか?ということを考える事です。その意味では、「長期的な視点で企業活動全体の方向つけを行うこと」と考える事ができますね。
講師
「戦略」を考える上で、次の3つの考え方がとても大切になります。1)結論から考えること、2)全体から考えること、3)しない事をきめること、です。それぞれ順に概念的な説明を加えましょう。実際にどのように使うかは次号で順次説明していきます。
1)結論から考えること
戦略=長期的な視点で企業活動全体の方向つけを行うこと、と説明しましたね。ここで言う結論は、最終的なゴールイメージ(Where)です。○○さんも、自社の中期経営計画という言葉を聞いたことがあるでしょう。計画の期間が3年間だとしますね。すると3年後の会社がどのような姿になっていたら計画を達成できたと考えるか?これがゴールイメージです。次に行うことは、現状を正しく認識すること(Now)です。ゴールイメージと現状が正しく認識できれば、その間にギャップが生じます。このギャップの認識が行えて初めて、どのように埋めていくのか(How)?つまり、戦略を立てることが出来るのです。
2)全体から考えること
これはまさに、「企業活動全体」を考えるときの発想です。常識という枠組みで企業活動を分析するのではなく、一度、鳥が空から地上を見渡すように全体を意識することがポイントです。そして、モノゴトを立体的に捉えて上からだけ見るのではなく、横から、斜めからと、様々な角度で分析する事で企業活動全体を考えることができるようになります。
3)しない事を決めること
戦略といったら、あれもこれも・・・。と考えがちですが、「しないことを明確にすること」こそ、モノゴトの方向性を決める上でとても重要なのです。企業では、人材やお金、時間や情報など限られた資源を有効に活用して効果を最大に発揮するためにも、資源を集中する事が大切です。そのために、する事としない事を明らかにする。これが戦略を考える上での3つ目のポイントです。
OL
なるほど。長期的な視点で企業活動全体の方向つけを行うことが戦略で、そのために3つの考え方を基本にあれやこれや考えていくのですね。1つ質問なのですが、企業において経営理念がとても重要だ!と入社時教育で習ったのですが、これまでの説明とどのようにつながるのですか?
講師
とてもいい質問ですね。企業の戦略と経営理念の関係は次の図のように表すことが出来ます。これは、経営ピラミッドと呼ばれ、企業活動を重要度の高いものから順にピラミッド構造に並べたものです。
経営理念には、「会社が果たすべき社会的使命(ミッション)は何か」、ミッションを行うことにより「目指す姿(ビジョン)」、そして、「どんな価値を顧客に提供していくのか(バリュー)」などが示されています。
2段目の事業目標は、経営理念を実現していくことにより「何を達成する」のかを数値で表したものです。売上目標、営業利益・経常利益目標、コスト削減目標、ROA、ROIなどのような比較、管理しやすい指標で表されます(詳細の数値に対しては、アカウンティング、ファイナンスでご説明します)。
そして、目標を達成するために何をすべきか?これが、企業における戦略になります。先ほど説明したギャップをどのように埋めるか?に相当する部分です。
ちなみに、どんなに素晴らしい戦略を立てたとしても実行しなければ意味がありません。そのために、策定した戦略を計画に直して具体的な行動として実行に移していくことが行動計画にあたります。戦略を具体的な行動につなげ、数値目標を部門別にブレークダウンし、役割やスケジュールとして実行し、管理していくことが求められます。
OL
なるほど、これまで説明された流れによって、私たちの日頃の業務があるわけですね。このように理解すると、逆に私たちの日頃の業務が企業全体のゴールに結びついていることが良く分かります。
講師
素晴らしいところに気づきましたね。まさにその通りなのですね。次回からは、経営ピラミッドの中の戦略の部分に注目していきましょう。