早嶋です。
以前、新しい成長機会を模索するときのフレームワークとしてアンゾフの成長マトリクス(1、2)を紹介しました。成長マトリクスは、水平方向に製品、垂直方向に市場を取り、それぞれに対して既存と新規を取り、そこに出来る4つの象限から、企業が進むべき方向を考えるツールです。
企業活動を永続的に行うためには、成長マトリクスの4つの象限のうち、何処に進むかを決めていく必要があります。そして、この時に、「自分の会社は何をする会社なのか?」が明確に定義されていなければ、経験や知識もない未知の分野に飛び込むこともあるかもしれません。
上記の指針は特に多角化を行う場合に明確にしておく必要があります。家電メーカーが保険業務に乗り出す、自動車メーカーが住宅販売を行う、出版会社が野球チームの運営を行う、世の中ではごく当たり前のように多角化経営が行われています。儲かる分野に進出して積極的に投資する。企業を大きくする事がビジネスの鉄則のように考える事が正だとしたら、自社のビジネスの定義付けは不要になります。
しかし、実際はどのような大企業であっても経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報、時間等)に限りがあります。成長を模索する場合に本業を徹底的に強化するべきなのか?新しい分野に進出するべきなのか?経営資源が有限であれば、必ず先の質問にぶつかります。この答えに回答するためには、3年後、5年後のビジョン、つまり会社がどのような姿にあるべきなのか?を明確にする必要があります。
ビジョンを明確に持つことは経営者にとって重要なことです。ビジョンを明確にもてないな?と考えたならば、次の5つの質問に対して考えて見てください。
1)これから世の中はどのように変わるだろうか?
2)今の業界はどのように変化するだろうか?
3)顧客は何を求めていくだろうか?
4)どのような技術が使えるようになるだろうか?
5)1)~4)の変化に対応するための資源を有しているだろうか?
このような環境分析と自社分析を繰り返し行っていきながら、3年先、5年先のビジョンを定めていくのも経営者の大切な仕事だと思います。